「グローバル人材」の定義とは?


今日本では、グローバルな経済活動において様々な資質が求められています。
OPCでも海外案件を多数取り扱っており、その案件ごとに求められる資質は若干変わるものの、共通部分も相当あります。
そういった側面について、ニューズウィーク日本版2012年4月18日号に興味深い記事が掲載されていたので、ご紹介したいと思います。
「グローバル人材」の勘違い
日本 戦略なきイメージ先行の国際化ブームが続けば、企業も社員も血みどろの戦いを勝ち残れない
日本の中堅メーカーに勤める立川友哉目(34仮名)にとって、初の外国生活となったタイでの駐在は苦しみの連続だった。新会社の設立準備が主な業務だが、現地の法務事情には疎いし、英語への苦手意識も拭えない。
てきぱきと仕事をこなすタイ人の部下から「もっと明確に指示してほしい」と要望されることもストレスだった。ある日、書類にミスが見つかると、自信を失い鬱状態に。結局、駐在1年弱で帰国を余儀なくされた。
立川のように異国で右往左往し、心を病むケースは世界各地で増えている。彼らは、日本に吹き荒れる「グローバル人材」育成ブームのひずみが生んだ被害者といえるかもしれない。
経済のボーダーレス化が加速度的に進み、「世界で稼ぐ」のが当然の時代、外国人と渡り合ってチャンスを物にできる人材を増やさなければ国も企業も生き残れない―そんな危機感に駆られて、日本では最近、グローバル人材待望論が花盛りだ。
外国人の新卒採用や英語の社内公用語化がメディアをにぎわし、東京大学は秋入学による国際競争力の強化を宣言。野田政権も「世界に雄飛する」人材の開発を重点目標に掲げている。
これは、日本企業がついに人事と組織の抜本的変革に踏み出した証しなのか。残念ながら答えはノー。むしろ、どんな人材をどう育てるかという本質から目を背けたまま、イメージばかりが先行している側面さえある。
世間のムードに乗り遅れまいと焦り、外国人の採用増という象徴的な判断にさえ他社の動向を気にする横並び主義。目指す人材像も、そこに至る戦略も曖昧なまま行われる付け焼き刃的な研修。「現状が続く」という幻想を捨て切れない社員。こうした時代錯誤が続けば立川のような悲劇はますます増え、日本 企業には環境変化に適応できずに絶滅した恐竜のような暗い未来が待っているかもしれない。
◆幕末の志士との違いとは
時代錯誤ぶりが顕著に表れているのは、「まずは英語から」という根強い英語信仰だ。英語の必要性は言うまでもないが、国内で「仕事ができる」人に英語力を加えれば、世界で活躍できると考えるのは短絡的過ぎる。
「異なる発想を持つ人が意見をぶつけ合い、相乗効果を引き出すのがグローバル社会の原則だ」と、グローバルーエデュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツの布留川勝代表取締役は言う。
「同質の仲間との『あうんの呼吸』が重視される日本的な環境で成果を挙げるスキルとは、質が違う」
言語も商習慣も異なる現地スタッフの士気をどう高めるか、市場の潜在ニーズを探り、前例のない決断を下せるか―正解のない問いに最適解を出す難しさに目を向けず、「昇進の条件はTOEIC600点か700点か」が最大の論点という企業は、いまだに珍しくない。
かといって「英語以外」に熱心に取り組めば十分というわけでもない。リーマンーショックで削減された研修投資が復活し、ロジカルシンキングから相手国の文化を学ぶ講座まで、プログラムはますます多様化している。
だがいくらテクニックを覚えても、根本的な発想や心構えのマインドセットが変わらなければ意味がないとの指摘は根強い。
各国の専門機関と組んで人材育成のノウハウを提供するIGBネットワークの古屋紀人社長に言わせれば、日本人のそもそもの問題は判断のよりどころとなる信念の「核」が確立されていないこと。その結果、思い切った決断を下せなかったり、社内の論理や世の中の空気に流されて判断がぶれるという。
日本にも幕末から明治初期にかけて、国の未来を大局的に見据えて行動を起こせるリーダーが数多く存在した。
「彼らを支えたのは、禅や武士道の精神に基づく揺るぎない内面的基盤だ」と、古屋は言う。「そうした土台をないがしろにして、小手先のスキルばかり学んでも欧米流の物まねに終わるだけだ」
揺るぎない信念も英語力も専門知識も足りなくては、グローバルビジネスの最前線で戸惑うのは当然だ。今やどんな貧困国に生まれても、ネット環境さえあれば名門ビジネススクールの授業を無料で見られる時代。ハングリー精神にあふれる新興国の若者が急速に実力を伸ばすなか、冒頭の立川のような挫折を味わうケースは増え続けている。
◆人材獲得競争で蚊帳の外
もっとも、個人の資質のせいにするのは酷な面もある。最近急増している30歳前後の駐在員の多くは、「若いうちに海外経験を」という掛け声に乗って大した準備もなく各国に送り込まれる。「彼らは日本で部下を持った経験もないまま、いきなり外国人を束ね、人事考課までする大役を任されて疲弊している」と、シンガポールを拠点に日系企業の人材育成を支援するサイコム・ブレインズ(アジア)のサンディ斉藤は指摘する。
意思決定を迅速化するために本社の権限を現地に委譲したり、人事評価や報酬体系を世界中で統一する必要性についても20年以上前から指摘されているが、その進展は遅々たるものだ。
しかも、現地スタッフの多くは年功序列で昇給する日系企業のぬるま湯に漬かって「日本人化」しており、いざ重要ポジションに抜擢しても仕事ができないケースが目立つと斉藤は言う。
「かといって高額の報酬で新たな人材をヘッドハントする仕組みもなく、欧米系や韓国の企業に優秀な人材が流れてしまう」
もちろん日本でも、世界共通の人事評価基準を導入し、ドイツ人取締役に代表権を持たせた資生堂のような例もある。だが「大半は今も、日本人が日本本社で日本語で経営する発想のままだ」と、組織戦略に詳しい一橋大学大学院の一條和生教授は言う。
「本社の仕組みと、島国意識に大手術が必要だ」
このままでは、世界的なトップ人材獲得レースから完全に脱落する。一流の頭脳が集まるグーグルやアップル、マッキンゼー、サムスンなどの「勝ち組」企業は「欧米のトップMBA(経営学修士号)の学生に破格の待遇を提示して、囲い込みを進めている」と、グローバル・エデュケーションの布留川は言う。
「今いる最高の人材を総取りし、ライバルを完全に突き放すという決意表明だ」
環太平洋経済連携協定(TPP)が締結されれば、ただでさえ縮小気味の国内市場に外資がなだれ込む。頼みの技術力にも陰りが見える。日本企業の競争力が目減りし続ければ、会社が中国資本に買収される、倒産が相次ぐといったシナリオが現実になるかもしれない。
だが、大半の人はそんな暗い未来を直視することを避けているようだ。
「あらゆる手段を使って自分の市場価値を高めることが最大のリスクヘッジのはずだが、研修やTOEIC受験を罰ゲームのように思っている」と、布留川は言う。
「国や会社の仕組みは変えられなくても、自分自身は変えられるのに」
◆日本人の中での差別化を
グローバル市場での血みどろの戦いを、職選びの段階であえて回避するという形のリスクヘッジもあり得る。『10年後に食える仕事 食えない仕事』(東洋経済新報社)の著者でジャーナリストの渡迢正裕によれば、金融やITソフト開発のように実力だけで評価される業界では世界規模の過酷な戦いが待ち受ける。給与の計算事務やタクシー運転手のように、業務の国外委託や外国人の流入で賃金が途上国並みに下がる職種も多い。
一方、どれほどグローバル化か進んでも「日本人ならでは」の仕事は残る。「外国人から家を買うのは不安」という消費者心理がある限り、日本人の住宅営業職は消えないはずだ。チームワークや勤勉さといった日本人の強みを外国の工場に伝授できる人材も重宝されるという。
ひと安心? いや、そうではない。「似た能力の日本人同士で少ないパイを競うのだから、自分をどう差別化するか真剣に考えるべきだ。『皆がやっているから』といって英語を学んでいる暇はない」と、渡迢は言う。
極論かもしれないが、ポイントは自分の強みを見極めて戦略的にキャリアを構築すること。日本人の中で抜きんでるのに必要な発想力や実行力といった力の多くは、グローバル人材に必要な要素と共通している。
そうした力は、一朝一タに身に付くものではない。「グローバルな環境で働くことは『苦行』だと思われているが、異なる価値観の人との交流は本来、刺激に満ちた楽しいもの。若いうちにその醍醐味を経験することが、後のキャリアの支えになる」と、一橋大学の一條は言う。
そんな経験を積める場が、国内にも誕生する。14年秋に長野県に開校予定の「インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢」は、アジアの貧困家庭出身者など多様な背景を持つ若者が大自然の中で切磋琢磨する日本初の全寮制インターナショナルスクール。目指すは、「考える力、感じる力、突破できる力」を備えたリーダーの育成だ。
10年後、日本企業はそんな若き才能を引き付け、存分に力を発揮させられる場所になっているだろうか。タイムリミットは限りなく近づいている。
【5つの要素で測るあなたのグローバル力】
グローバルな環境で力を発揮できる人材の条件とは?グローバル・エジュケーションアンドトレーニング・コンサルタンツによれば、必要な能力は5つの柱に分類できる。ベースとなるのは壮大なビジョンを描き、その実現法を構想する力と、自分を鼓舞して努力する力の2つ。
その上にコミュニケーションのスキルと多様性への理解、ツールとしての英語力という3つの「アプリ」が加わる。チェックシートであなたのグローバル人材度を判定してみよう。
◆ビジョナリーシンキング
・明確なゴールイメージを頭に浮かべながら仕事に取り組んでいる
・経営者・上司・顧客・競合他社など自分とは立場の異なる人たちの視点も考えながら、仕事をしている
・自分は、ロジカルかつクリエーティブである
・アイデアがひらめいたとき、それが実現可能かを同時に考える
・自分のありたい姿が、熱い思いを伴って浮かんでくることがある
・大局を見ながら、細部にも気を使うほうである
・物事を考えるときに、前例やルールにはこだわらないほうだ
・目標実現のために、取るべき具体的なステップを考えられる
◆セルフエンパワーメント
・難しい局面でも自分自身を奮い立たせる方法を知っている
・自分の強みや弱みをありのままに受け入れることができる
・人は年齢や環境に関わらず、あらゆる機会を通じて成長し続けられると考えている
・今ある状況は自分の選択の結果であると認識し、他人や環境のせいにしない
・緊急度は低いが、重要なことに時間をかけるようにしている
・ポジティブな影響を周囲に与えることができる
・なすべきことを着実に行い、結果はすぐ求めない
・自分自身が他者にどう見えているかを認識している
◆ダイバーシティ
・世界情勢、文化、歴史に興味を持っていて、情報を取り入れようとしている
・異なる価値観を持つ人たちとの協働により、ダイナミックな発想が生まれると思う
・異性の上司/部下/同僚とも分け隔てなく、仕事ができるほうだ
・「当然~」、「絶対~」、「当たり前」といった決め付けに注意を払うほうだ
・自ら異質の世界に飛び込むことにワクワク感を感じるほうだ
・自分の意見が否定されても、感情的にならす対応できるほうだ
・人の行動を理解する際には、その背景にある価値観・信念などを知ろうとする
・多国籍のチームで働くことを考えると、不安よりも期待のほうが大きい
◆グローバルイングリッシュ
・英語はコミュニケーションの手段であって、目的ではないと思う
・英語がさらに上達したら、「こんなことがしたい」という具体的な夢や目標がある
・単語・表現が通じなければ、分かってもらうまで、違う表現、身振り・手振りを使うなどして説明し続ける
・ネイティブのような発音でなくとも、堂々と話すほうが大切だと思う
・少ない時間であっても、毎日英語には触れるようにしている
・文法的な誤りはあまり気にせず、伝えることに力を入れている
・使える表現・文章はどんどんまねて使ってみるようにしている
・英語が母国語ではない人が使う英語も、英語の一つだと思う
◆コミュニケーション
・人の良い面に目を向け、言葉にして褒めている
・人と接するときには、表情・態度・声色・テンポなどにも気を配っている
・話を聞く際には、話の中身だけではなく相手の気持ちを理解しようとしている
・目的、相手の状態・状況に応じて、複数のコミユニケーションスキルを使い分けられる
・まずは結論を伝え、その理由を簡潔かつ明確に説明するようにしている
・伝える内容と伝え方の両面に配慮している
・導き出したい結果や目的を明確にした上で、コミュニケーションを取るように心がけている
・話を聞く際には、誤解を避けるため、話の内容を繰り返す、要約する、質問するようにしている
あなたはどのタイプ?
診断テストで自分の「グローバル人材度」をチェックしたら、下の6つの典型的なパターンから近いものを探してみよう。自分の強みと弱みを知ることが、グローバル対応能力の磨き直しに向けた第一歩だ。
◆優秀なドメスティックプレーヤー
自分のありたい姿を常に思い描き、理想像へ到達する手段・方法を明確に持ちながら、行動へと移すことができるタイプ。また異なる価値観にも柔軟に対応しながら、自分の考えを的確に伝えるコミュニケーションカにもたけている。そのため、周りと協働し合って成果を出すことができ、上下から厚い信頼を寄せられているはず。
ただし、グローバルイングリッシュ力が低いということは、英語を用いたコミュニケーション力が十分ではない、または苦痛であることを示している。仕事の場がグローバルになった途端に能力が十分に発揮されず、損をすることもある。そろそろグローバルイングリッシュ力の向上に、本気で取り組んではどうだろう。もともと能力が高いあなたのこと、活躍の場が広がることは間違いない。
◆振り向けば周りがいない一匹狼
目標を高く持ち、目標を実現する手段や方法を明確に意識しながら、努力することもいとわないタイプ。
あらゆる機会を自己成長と捉える、エネルギッシュでポジティブな人と思われる。しかし、自分と異なる他者の価値観を認められず、さまざまな人々と協調してシナジー効果を生み出すことは苦手のよう。結果、自分1人で行動することが増えているのでは?問題解決能力は高いのだから、ぜひ他人との関わりに対しても発揮すべき。
まずは相手に関心を持つことと、違いを受け入れるメリットの大きさを理解しよう。もちろん日本人同士でも同様。こうしたコミュニケーションの手法を理解して、実際に使うことで成功体験を積み上げていくことが肝心といえる。その感覚が持てて初めて、ビジョナリーシンキングやグローバルイングリッシュといった力が生きてくる。
◆「いい人」だけど一線には立てない
明るくオープンな人柄だけでなく、異文化や自分と異なる価値観に対して柔軟に理解する能力がある。相手の意見を受け入れつつも、自分の意見を相手にしっかりと伝えることができ、コミュニケーション力は十分といえる。加えてグローバルイングリッシュを得意とし、外国人とのコミュニケーションもスムーズに行えるのは大きな強みだ。
しかし、グローバルビジネスの場面では、自分や会社のあるべき姿を真摯に考え、自身の価値観に基づいて軸をぶらさすに目標に向かって愚直に努力していく力が求められる。今後、グローバルビジネスにおいて大きく羽ばたくためには、ビジョナリーシンキングとセルフエンパワーメントという、自身のグローバル化の核となる2つの力を伸ばすことが不可欠だ。この2つの力がしっかりと根付けば、これを具体化するツールである他の3つの力は高いため、まさに「大化け」する可能性がある。ワークショップやコーチングなどで、具体的に1~3年後のありたい姿を考える訓練から始めてみてはどうだろう。
◆努力しているけど空回り
社会的に求められる能力を最大限に発揮できるよう、自分を高める努力をしており、かなりの努力家といえる。事実、高いグローバルイングリッシュ力を持ち、外国人とのコミュニケーションで困ることはないだろう。しかし、本当に自分が考える「ありたい姿」が明確に見えていないため、世の中の動向や他者からの影響を受けやすく、行動にぶれが生じることが多そうだ。また自身の努力に対して、周囲の評価が十分になされていないというストレスを感じているため、他者に対して円滑なコミュニケーションが取れないことも少なくないだろう。
まずは他の何にも揺さぶられることのない「自分自身の在り方」を具体的に見いだし、同時に相手の在り方や価値観を認める訓練をしよう。あなたに必要な言葉は「私は私、人は人」。セルフエンパワーメント力が高く、実行力のあるこのタイプなら、「本来の自分」を取り戻すことで、相手をも認め、グローバルビジネスで活躍できる可能性が一気に広がるだろう。
◆一生懸命だけど行き先が定まらない
社交的でどんな人ともうまくやっていくコミュニケーション能力の高い人。さらに、異文化や他者との違いを柔軟に受け入れ、周りと協働することを得意としており、そのための努力は惜しまない。和を尊ぶ日本では、誰からも愛されるキャラクターとして認知され、その評価に満足しているのではないだろうか。
しかし、グローバルビジネスの場では、自分の意見を持たす、考え方を主張できない人は「自己」を確立していないと見なされ、対等に扱ってもらえない傾向がある。今後は、人から評価を受けるためではなく、自分が本当になすべきことのために、自分自身を高めようとする努力を積み重ねることが必要だろう。そのためには、自分自身の在り方や仕事の方向性をしっかりと考え、それを実現するための事項を具体的に戦略立てて落とし込んでいく作業が必要だ。もちろんグローバルイングリッシュもグローバルな場で存在意義を発揮していくために不可欠な要素だ。
◆周囲を巻き込むが途中で燃え尽きるドリーマー
ひとことで言うなら「ビジョナリーな熱い人」といったところか。自分の将来の方向性や成し遂げたい目標について、十分把握している。さらに明るく社交的で異文化に対する理解力もあり、あなた自身の夢を熱く語り、巻き込んでいく能力も高いと思われる。従って、周りからは協調性があり、人に影響を与える優秀な人材と思われているのでは?
しかし、自分自身が予想していなかったトラブルや問題に直面すると、必要以上にプレッシャーやストレスを感じ、途中で進めなくなってしまう傾向かありそうだ。また、途中で飽きてしまうことも少なくないだろう。そんな人が鍛えるべきなのは、冷静に自己を見詰めて実行していく「セルフエンパワーメント」の力。自分の強みと弱みを理解し、それらを補完、増強するものは何かを見定め、冷静に自分を成長させる戦略を練り、粛々と実行することが大切。そのための計画作りや継続させるコツなどを学ぶとよい。