はつり工不足を、解析予測で解決!


現場のハンディを、どう克服するか。
今回の事例は、「コンクリート取り壊し工事におけるはつり工と敷き鉄板の不足」です。
20人のはつり工が必要にも関わらず、確保できたのは6人。
三次元衝撃解析によるシミュレーションと現場での実験で効率化を図った今回のケースは、事前予測も重要な要素であることを教えてくれます。
解析で機械施工の実現性を実証
橋梁地覆コンクリート取り壊し(北海道新十津川町)ほか
・はつり工不足を機械施工で補うため、その実現性をシュミレーションと実験で確認
・運搬時に現場に敷く鉄板の品不足を見越して、廃材と木材チップを使った代替工法を開発
北海道では、建設作業員の不足が新設工事だけでなく補修工事の進捗にも影響を及ぼしている。 2013年度は道開発局や札幌市などで、橋の高欄を取り替える補修工事の発注が急増した。
砂子組(北海道奈井江町)が13年7月から現場に入った滝新橋補修外一連工事はその一つ。同現場では、はつり工の人手不足に直面した。
主な工事は地覆コンクリートの取り壊しだ。人カブレーカーで、橋長754mにわたって両側の地覆コンクリートをはつる。発注者は、4組の作業グループで工事を進める工程を引いていた。1班当たり5人程度と考えると合計20人のはつり工が必要になる。
しかし、砂手組が受注後に確保できたはつり工の人数はわずか6人。工事の発注時期が比較的遅かったため、既に主だったはつり工はほかの現場と契約を結んでいたのだ。現場代理人を務めた同社士木部土木課の平島博樹工事長は、「人が足りないと想定していたので、受注時から改善策を模索していた」と振り返る。
同社が発注者に提案したのが、油圧ブレーカーによる取り壊しの方法だ。同社の技術顧問をしている北海学園東北アジア研究交流センターの佐藤昌志特別研究員は、「労働集約型の仕事が多く、以前から機械を使った作業に改めたいと考えていた」と明かす。
◆足場の設置中に現場で実験
油圧ブレーカーを使用した取り壊しは、特殊な工法ではない。ただし、発注者の多くは補修工事での採用になかなか踏み切れない。取り壊し範囲外の橋梁への悪影響を懸念するからだ。
「油圧ブレーカーの衝撃で、取り壊し範囲外の鉄筋の付着力が低下したり、振動によって微細なクラックが入ったりするリスクがあった」と平島工事長は言う。微細なクラックに水が浸入すれば、凍結融解などで劣化を招く。
そこで砂子組は、取り壊し範囲外の橋梁の健全匪を確かめるために、三次元衝撃解析によるシミュレーションと現場実験を実施した。
シミュレーションの結果、コンクリートにはチゼルの打撃点から直径10cm程度の範囲しかはつりの影響が及ばないことや、既設の鉄筋には最大でも2N/mm2ほどしか引張力が掛からないことが判明した。
現場実験では、ひずみゲージを付けてひずみを測定。鉄筋の降伏応力に相当する1700μのひずみ上限に対して、測定値はわずか10~20μ。コンクリートのひび割れを招くひずみは上限60μに対して、10μ以下に収まった。人カブレーカーの取り壊しによる影響度も測定したところ、油圧ブレーカーとそれほど違いがなかった。
受注後にすぐにシミュレーションに取り掛かり、吊り足場などの設置中に現場実験を済ませた。人手不足を想定し、早期に対策を練ったかいもあって、取り壊し工事の準備が整ってから数日で、油圧ブレーカーによる施工承諾が下りた。
◆作業サイクル改善で25日間短縮
そもそも人カブレーカーによる取り壊しには、振動障害の制約がつきものだ。そのため、1日当たり平均して約2時間しか作業ができない。作業の効率が悪いうえに作業員への負担は大きい。高欄の取り替え工事が、割に合わないと言われるゆえんだ。
一方、油圧ブレーカーによる取り壊しは、人カブレーカーのような制約がない。作業効率は向上し、1日当たりの取り壊し量は大幅に増えた。滝新橋の場合、6人の作業員による取り壊し延長は、人カブレーカーでは1日当たり20mだったが、油圧ブレーカーの使用で同35m延びた。橋の両側の地覆約1400m分の取り壊しで、最終的に延べ155人日の削減、25日間の工期短縮を実現した。
解析処理や油圧ブレーカーの燃料などの費用は掛かったものの、工期短縮に伴う経費や人件費の削減で、当初の実行予算よりも利益率を多少改善できた。
「人がいないからといって工事ができないと諦めない。何か違った形で工事ができないかを考えることが重要だ」と平島工事長は強調する。
◆万能ではない敷き鉄板
砂子組は、工事の発注増で全国的に不足が懸念されている敷き鉄板へも強い関心を持っている。
軟弱な表層をダンプトラックが走る場合や地耐力が足りない場所に重機を据え付ける場合などで、敷き鉄板を地盤の養生に使うケースは多い。鉄板がなくなれば困る現場も出てくる可能性がある。
そこで、砂子組は鉄板の代用品を検討し始めた。きっかけとなったのが、13年6月から始まった夕張シューパロダム熊の沢林遣外工事だ。ダムの近くの現場は泥岩が多い。水を含むと泥岩はヘドロ状になりやすい。林道工事のように未開地で施工する場合、地盤の悪い運搬路をいかに養生するかで作業効率が変わってくる。
「敷き鉄板がいずれ手配できなくなったとき、現場に雨が降ればどう対処するのかを今のうちから考えろ」。技術顧問の佐藤特別研究員は、同工事で現場代理人を務める土木部土水課の山元康弘課長代理に、この林道工事では地盤の状況が悪い現場が多い。敷き鉄板を設置してもヘドロの上に鉄板が浮き上がり、トラックの急ブレーキなどで鉄板自体が滑ることもある山元課長代理が手にしているのが、運送会社が荷役台として使っていた1.1m四方のパレットの廃材ように命じた。敷き鉄板の代替品を検討するように、たき付けたのだ。
実は佐藤特別研究員は、敷き鉄板が万能ではないと感じていた。雨が降って地盤が粘土状になれば鉄板が滑るし、凍結すればタイヤが滑る。さらに鉄板は重量物なので設置、撤去時に事故が起こりやすい。これを機に、本当に万能な養生工法を生み出したいという思いがあった。
◆廃材パレットと木材チップを使用
 
山元課長代理は佐藤特別研究員や土木部長らと共同で、ダンプトラックなどの重機の走行匪を向上させることを目標に敷き鉄板の代替品の開発に乗り出す。
そして14年に生み出しだのが、廃材と木村チップを利用した「ハマラーズ工法」だ。
同社は、運送会社などが荷物を載せる荷役台として使うパレットの廃材に注目した。廃棄されているパレットであれば費用が要らない。
ハマラーズエ法は、タイヤが走る部位にパレットを並べて、上下を金網で挟み込む。パレットには荷重の分散、金網にはパレットの動きを拘束しつつ連結させる膜の効果を、それぞれ期待できる。パレットと金網の上をダンプトラックでならした後心吸水と緩衝の効果を持つ木材チップをまけば完成だ。
ハマラーズエ法開発の発端となった熊の沢林遣外工事に、同工法を採用するには至らなかったが、14年2月には千歳市内の現場で試験施工を実施。その結果、ダンプトラックの運転手からは「走行しても違和感はなかった」、「急発進してもタイヤが滑る感覚はなかった」という意見が上がった運転手からは好感触を得ている。
敷き鉄板を60日間借りた場合のりース料は1㎡当たり約1900円。ハマラーズエ法は金網を転用すれば、材工其の費用が1㎡当たり約1500円で済む。林道工事で発生する木材を現場で破砕してチップに加工すれば、さらにコストは下がる。パレットの代わりに麻袋を検討 一方、試験施工ではバックホーが通過した際に、クローラーが金網を巻き込むなどの課題も見つかった。金網の代わりに、防じん対策として現場を囲う高強度のポリプロピレン製のネットを代用するなど、改良案を用意している。
 
さらに、リサイクル率の向上を視野に入れ、さらなる進化版を考案中だ。パレットの代わりに木材チップを入れた麻袋を使う。麻袋は破損しにくいので、リサイクルに向いているからだ。
ただし、麻袋はパレットに比べて、荷重を分散する効果が劣る。さらに麻袋は平たん性がないため、段差を解消するために表面に木材チップをまく必要がある。これらの課題が問題となるか否かを今年の3月に実験したところ、施工性や走行性に大きな問題は出なかった。
 
現場で本格的に導入する日はそう遠くなさそうだ。山元課長代理は5月以降に始まる林道工事の現場を担当すると既に決まっている。除雪後の地盤状態が悪い現場なので、廃材パレットや麻袋などの導入を検討している。

 

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