ヒト、モノ不足を現場の知恵で解決!


今、国内の建設業界では活況に沸く一方で、人手不足が叫ばれています。
また人手不足だけでなく、各種資材やショベルカーやダンプといった重機類まで不足状況に陥り、工期の遅延にもつながっているのが現状です。
そうした課題に対して、解決策はないのでしょうか?
今回日経コンストラクション2014年4月28日号に、非常に参考になる現場の事例が掲載されていましたので、是非ご紹介したいと思います。
現場でできる工夫やノウハウは、共有することがとても大事だと感じさせる内容です。
解決!「ヒト・モノ不足」
難局は現場の知識で乗り越えられる
被災地から始まった人手、資材、重機の不足問題が、全国に波及し始めている。これから三重苦に悩み、工期を延ばさざるを得ない現場や利益を確保できない現場は少なくない。現場での「ヒト・モノ不足」への対策は緊急の課題だ。設計や工法の変更、綿密な工程管理、作業効率の追求、新技術の開発といった取り組みを通じて、厳しい局面を乗り切った現場に学ぶ。
◆10tダンプやポンプの不足/設計変更を繰り出し調達難を回避
○大規模下水処理場の復旧工事(仙台市)
・震災で被災した下水処理場の復旧では、短工期と資機材不足という課題があった
・調達リスクを避け、工期を短くする設計変更案を、施工者が次々と提示している
毎月1万㎥を超えるコンクリートを打設する巨大な工事が、仙台市の太平洋岸で進む。東日本大震災で甚大な被害を受けた市南蒲生浄化センターの災害復旧工事だ。1日当たり43万㎥相当の下水を処理するための沈殿池や反応タンクといった下水処理施設を、2015年度末の完成に向けて建設している。土木・建築工事だけで、発注金額は合計約250億円に上る。仙台市が事業主体となり、工事発注などの手続きを日本下水道事業団(JS)に任せた。
同センターの主要施設の建設工事を担うのは、フジタ・鴻池組・丸本組・後藤工業・皆成建設JVだ。震災後の復旧・復興工事の多くが直面する二つの課題を乗り越えながら、同JVの大西基成所長が約6haにわたる工事現場を切り盛りしている。
二つの課題とは、短工期を克服する工程管理と、被災地の工事量の増加に伴って不足感が強まった資材や機械の調達管理だ。
◆「2ヵ月は遅れていたのでは」
同センターは、仙台市の汚水の約7割を処理する重要施設。現状は被災した既存施設の一部を利用して下水処理を行っており、早期の復旧が求められている。約6haの敷地を掘削し、約20万㎥のコンクリートで構造物を構築する土木・建築工事の工期は、約3年半しかない。
被災地では復興工事などの本格化に伴い、工事用の資材や機械の調達が困難な状況にある。「現場に赴任した際に感じたのは、物がないということ。発電機やポンプ、鉄板、仮設事務所など、通常であれば電話一本で入手できるものが簡単に調達できない」と、大西所長は話す。この工事の主要材料であるコンクリートの調達でも、骨材の一部を海上輸送する段取りを整えるほどだった。
この現場でこれらの課題を解決する最大の武器は、大西所長のアイデアだ。仮設方法や施工機械の選定などで、課題を打ち払う多様なアイデアを提示。厳しい条件下で、順調に工事を進めている。
市下水道計画課の甲野藤弘憲課長は、大西所長が繰り出すアイデアをこう評価する。「部分的な提案ではく、工事全体の流れを考慮できている」。工事の流れも踏まえたアイデアによる設計変更がなければ、「2ヵ月程度は工事が遅れていたのではないか」と大西所長はみる。
◆砂地を走れる40tダンプに
様々な設計変更のアイデアのうち、大きな効果を発揮した工種が土留めと掘削だ。この現場では、東西方向約200m、南北方向約300mのヤード内を、最大13mの深さまで掘る。掘削土量は約20万㎥に及ぶ。 
JSが総合評価方式で工事を発注した際に、フジタJVが提示した設計案では、JSが想定した0.8㎥級のバックホーの代わりに、1.4m3級のバックホーを10台入れる予定だった。さらにJSによる当初設計案では、運搬に10tダンプトラックを用いることにしていた。
しかし、現場を率いることになった大西所長は、使用重機を変えた。バックホーにはより能力の高い2㎥級を加え、搬送用のダンプには場内で残土処分する点を踏まえて40tクラスを採用。より汎用性が高い10tダンプや1.4㎥級バックホーに比べて調達しやすい点を重くみた。
この変更は、単に重機手配の確実性を高めただけではない。現地は海に近い砂地盤。駆動輪の少ない10tダンプでは、地面に車輪が食い込んで動けなくなるリスクがある。そのため、ダンプ走路には鉄板などを敷く必要が生じる。
一方、40tダンプは駆動輪が多く、砂地盤でも走行できる。しかも、重機の性能を上げた分、1回当たりの積み込みや運搬の土量が増えて施工効率が高まる。鉄板を敷く手間やその調達リスクもなくせた。
◆土留めの自立でアンカー6割減 
土留めでは、工法を変更して手間の掛かる施工を減らした。当初の設計案では、下水処理施設の躯体構築に必要な最小限のエリアを区切る格好で鋼矢板を配置。鋼矢板はグラウンドアンカーで支える計画だった。
大西氏は、鋼矢板の設置位置を西面で約4m、東面で7~10mほどセットバックさせて矢板前面の土砂を残して掘削できるよう計画を改善。アンカーを使わなくても矢板が自立できる案をまとめた。これによって、アンカーの施工本数は、723本から261本に減った。しかも、鋼矢板の位置を変えて、一部の埋設構造物で矢板との干渉を避けた。
ただ、矢板は無条件で背面にずらせたわけではない。西側には貞山運河が存在し、この施設への影響を考慮しなければならなかったからだ。事業主の市が窓口となり、同運河を管理する宮城県と協議を実施。矢板のセットバックを認めてもらったうえで、設計変更を実現させた。
これらの土留め・掘削による工夫によって、単純計算で90日分に相当する施工手間を軽減できた。実際の掘削工事では、既存施設の解体工事などとの調整が生じたりして、思うように工事が進められない時期が生まれた。それでも、工夫を重ねたことで、ほぼ当初の予定どおりの工期で施工を進められている。
工事費でもメリットが出た。鋼矢板の設置位置を変えた結果、掘削土量は約1万㎥増えたものの、アンカーの設置手間の軽減などで計約7400万円を節約できた。
◆排水は150ヵ所から6ヵ所へ
この現場で大西所長が示したアイデアはほかにもある。水替え工事だ。大面積の掘削を伴う現場では、地下水のくみ上げも工程管理上、重要な工種だ。当初は、掘削面よりも低い位置に配した釜場と呼ぶ集水施設に流れ込んだ水をポンプアップする釜場排水工法を採用する予定だった。
この場合、掘削現場における釜場の想定箇所数は約150ヵ所に達する。「地震後に地盤沈下が多発。排水需要が増すなどしてポンプは手配が難しくなっていた」(JS東北総合事務所施工管理課の高瀬智主幹)。そんなポンプを、大量に用意しなければならない工法だ。
加えて、現場では解体工事なども動いていた。排水用のホースが干渉すれば、こうした工事などの支障になりかねない。大西所長は、ほかの工事への影響を抑えつつ、確実に水を抜ける工法に改める道を選んだ。
ここで選択されたのは、ウルトラディープと呼ぶ工法だ。井戸から真空ポンプを利用して強制排水する。排水箇所は6ヵ所で済んだ。工費は1800万円ほど増したが、当初の工法に比べて約30日相当の手間を軽減できたという。
◆土留め変更が桟橋削減に効く
このほか、クレーンやコンクリート打設用のポンプ車などの動線となる仮設桟橋の施工でも大西所長は知恵を絞った。当初、掘削敷地内を東西方向と南北方向に格子状で区分する予定だった配置計画を、南北方向が中心となる形状に変更。桟橋の施工面積を約2割減らした。
当初の計画では、桟橋と躯体が干渉する部分が大きく、桟橋を撤去した後で施工しなければならない部分が多く残ったからだ。東西方向の桟橋を減らす配置にして桟橋の施工面積を削減するだけでなく、桟橋撤去後の工事量も減らした。
桟橋の施工面積を削減できた理由の一つが、先に紹介した鋼矢板のセットバックだ。当初は西端に桟橋を設ける想定だったものの、鋼矢板の位置を変え、その前面を仮設道路としたので、桟橋の施工面積を減らせた。
一方、桟橋の幅は当初の10mから12mに拡幅した。10mの幅では現場で用いる70t級クレーンの背後をアジテータ車が走る際に、クレーンの向きを桟橋方向に変えなければならないからだ。通常、クレーンは桟橋と直角方向を向いて作業する。アジテータ車の移動のためにクレーンを動かせば、施工効率は落ちる。拡張すべき部分は仕様を拡大して施工性を確保した。工夫の効果は、単純計算で20日分の手間に相当する。
「仮設を考えるのが好き。施工者の提案が反映されやすいし、仮設が円滑に進めば、全体の工事もうまく運ぶから」。容易ならぬ大現場を動かす大西所長は、こう言って笑う。 躯体工事が本格化するなか、今後は労務管理も重要な課題となる。仮設は工夫による改善の余地が大きい。だが、仕様が固まっている躯体工事では、工期短縮のアイデアを絞り出すことが難しいからだ。
厳しい環境を乗り切るために発注者側も施工者を支援する意気込みを強く持つ。「仙台市とJS、JVが密に協議を行って、資材調達の状況や労務の状況を確認している。調達先などの確保については、私自身もこれまでの仕事で付き合いのあった会社を当たってみたりしている」(高瀬主幹)。
どんな状況下でも、必ず結果を出す。
今真っ盛りのワールドカップで勝ち抜く、強豪チームばりのプロ意識に脱帽です。

 

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