Windows XP終了後の企業のITの取り組み


マイクロソフトのWindows XPのサポート終了のニュースは、ビジネス界に衝撃を与えました。
なぜならその使い勝手の良さで、その後発表されたバージョンに移行せずに使い続けていた企業が多かったからです。
特にビスタはその立ちがりの遅さから不評で、XP信者が増える結果にもなりました。
そうはいってもセキュリティの進化もあり、新しいバージョンへの移行は、企業のシステム管理の必須条件でもあります。
その辺の最新事情をまとめたレポートを、日経パソコン2013年7月22日号よりご紹介したいと思います。
企業の情報化実態
企業の情報システムは、大きな変革を迫られている。
「Windows XPのサポート終了」への対応が急務であるのに加え、スマートフォン/タブレットなど「スマートデバイス」の活用や、クラウドへの移行は、もはや避けて通れない。
企業はこうしたテーマにどう取り組んでいるのか、調査を基に、実態を明らかにする。
本誌は2013年4月から5月にかけて、「企業の情報化実態に関する調査」を実施。電子情報技術産業協会(JEITA)の協力を得て、930社の情報システム担当者から回答を得た。
 
アンケートでは、情報化に向けた投資の増減、パソコンやスマートフォン、タブレットなどの活用状況、クラウド構築やBCP(事業継続計画)策定の進捗度などについて聞いた。その回答を分析すると、企業が今後の業務端末の在り方を模索する動きが見て取れた。
まず、2013年度の情報化に関連する投資計画について聞いた。回答企業の37.6%が、情報化投資を「前年度よりも増加」と回答(図1)。予算を増やすという企業は、2年連続で増加した。
◆情報化投資が活発に
「前年度より減少」と回答した企業は16.3%とほぼ横ばい。「前年度並み」とした企業は37.8%で、2年度の調査(42.7%)よりも約5ポイント減った。全体に、投資に前向きな企業が増えているようだ。
 
IT関連の製品やサービスを提供する企業も、こうした気運を察する。リコージャパン・ICT事業本部IT事業センターの八條隆浩センター長は「この3月までは企業の動きは鈍かった。4月以降、急速に投資の動きが活発になってきた」と見る。
 
業種によってもばらつきがあるようだ。富士通・ユビキタスビジネス戦略本部の丸子正道マネージャーは、「全体として投資に前向きな傾向があるが、業種や企業のビジネス領域によって差がある」と指摘する。実際、業種別に情報化投資の傾向を分析したところ、ばらつきが多く見られた(図2)。
 
予算を増やす企業が特に多かったのは、金融/証券/保険業や、情報処理/ソフトウェア関連、商社/流通/小売業である。いずれも、4割以上の回答企業が予算を増やす。
 
一方で、運輪/電力・ガス・水道業では、予算を増やすと回答した企業が25.6%と3割を下回った。予算を減らすという企業も25.6%と業種別では最も多く、IT投資に消極的な傾向が見られた。この分野は、円安や原油価格の高騰が、企業の業績に色濃く影響。情報化予算にも影を落としているようだ。
◆タブレットやXPに関心
では、企業は今、どういった分野やテーマに関心を持っているのだろうか。一本誌が挙げたIT関連のキーワードのうち、最も関心を集めたのは「タブレット端末」で、回答企業の48.5%が選択した(図3)。4位には「スマートフォン」、6位には「iPhone/iPad」と、スマートデバイスへの関心が全体的に高い。
 
2番目に注目度が高かったのは、43.8%の「Windows XPのサポート終了」である。 2014年4月のサポート終了を境に、XPを使い続けることは、セキュリティ上のリスクとなる。多くの企業にとって、懸案事項となっていることがうかがえる。 
次ページからは、これらに対する具体的な取り組みの実態を、調査結果を基に明らかにしていこう。
XPからの移行、半数は間に合わず
情報化予算が増える傾向にあるのは前述の通り。では、企業は具体的に何に力を入れようとしているのか。
 
情報化関連の分野ごとに投資計画を聞くと、投資を増やすという回答の割合が最も高かったのは、「ハードウェア関連」で42.8%だった。次に多かったのは「ソフトウェア関連」で28.2%。「ネットワーク回線・設備」(19.6%)、「セキュリティ対策」(16.8%)と続く。ハードウェア関連への投資を増やす企業が、突出して多い傾向にある(図1)。
 
具体的にはどのハードウェアへの投資を増やそうとしているのか。調査結果を分析すると、その一つはパソコンであるようだ。2012年度のパソコン導入台数と、2013年度の導入予定台数を、パソコンのタイプ別に聞いた。すると、デスクトップ型、ノート型、携帯ノート型のいずれも、2012年度の導入実績に比べて導入予定台数が増えている(図2)。
◆導入パソコンが増える
背景にあるのは、2014年4月に迫っているWindows XP (以下、XP)のサポート終了だろう。XPに加えて、Office 2003と、XPにプリインストールされているWebブラウザー(Internet ExpIorer 6 (IE6)のサポートが同時に切れる(図3)。
 
2014年4月9日のサポート終了後は、Windows Updateなどで提供されてきたセキュリティ更新プログラムが提供されなくなる。不具合や脆弱性が見つかっても、基本的にマイクロソフトは対処してくれない。
 
またXPやIE6を前提とした、サードパーティ製のソフトウェアや周辺機器も、サポートやアップデートが終了する可能性が高まる。マイクロソフトがOSをサポートしない以上、そのOSで動作するハードやソフトの動作を保証するのが難しくなるからだ。
 
こうしたリスクやデメリットを考慮すると、企業はXPの使用を停止せざるを得ない。より新しいOSへの移行やパソコンのリプレースを検討する必要が生じている。
しかしながら、XPへの移行は進んでいないのが実情だ。社内で使用しているパソコン用のOSのうち、2013年3月時点で最も多いOSは何かを聞くと、64.7%が「Windows XP」と回答した(図4)。多くの企業にとって、いまだにXPがメインのOSなのだ。
◆「過半数がXP」が6割超
社内のパソコンの中でXPのパソコンが占める割合も聞いた(図5)。9割以上がXPと回答した企業は16.5%、8~9割の企業は10.6%、7~8割は9.4%と、高い割合で使用している企業が、少なからずある。サポート期限終了まで約1年というタイミングでの調査であることを考えると、対策が急がれる。
 
実際に企業は、2014年4月までにXPから別のOSに移行を完了できるのだろうか。その移行計画を聞くと、「2013年12月まで」に完了を予定する企業が14.6%、サポート期限である「2014年4月まで」と回答した企業は34.6%だった(図6)。
つまり、サポート期限までに移行を完了する予定の企業は49.2%にとどまる。半数は「2014年5月以降」(26.0%)、[移行しない](5.2%)、「分からない」(19.7%)という状況だ。
◆100人未満の企業が先行
OS移行の状況は、業種や企業規模によっても異なる。業種では、信頼性の確保が切実な金融/証券/保険業が移行を計画的に進めているようだ(図7)。28.6%が「2013年12月まで」、46.4%が「2014年5月まで」と回答。合わせて7割以上の企業がサポート期限までに作業を終える見通しだ。
 
企業規模別に移行状況や予定を見てみると、2014年4月までに移行を完了する企業の割合が多いのは、従業員が「100人未満」の企業。2013年12月までに23.2%、サポート期限までには計57.4%が移行を終える見込みだ(図8)。パソコンの保有台数が少なく、移行作業の負担が小さいことが要因だろう。
 
反対に従業員数の多い企業では、「XPパソコンの台数が多いため」(情報処理/ソフトウェア関連、1000人以上)、完全移行までに時問がかかるケースが多い。 「1000人以上」の企業では、2013年12月までに11.9%、サポート期限までに計46.5%が移行するにとどまり、100人未満の企業に比べて遅れている。
 
企業によって、サポート期限までにXPから移行できない理由はさまざまだ(図9)。目立ったのは「リース期限前には移行できない」という回答。「2011年にリースしたXPのパソコンが2015年まで残る」(運輸/電力・ガス・水道業、500~999人)など、4年または5年契約でパソコンをリースしている企業が少なくない。
 
業務システムの都合上、XPから移行できないとする回答も多かった。「XPでしか動作しない業務システムがある」(製造業、1万人以上)、「業務システムがIE6までしか対応していないため」(商社/流通/小売業、1000~9999人)など、システムの改修や移行が間に合わないケースだ。富士通・統合商品戦略本部TRIOLEオファリング推進部の西山聡一シニアマネージャーは、「パソコンを業務端末と考えている企業は、業務システムとセットで移行スケジュールを組むため、タイミングが遅れる場合がある」と指摘する。
◆移行先はWindows 7
XPから移行する企業が、次に採用するOSは何か。最新OSである「Windows 8」かというと、そうではないようだ。移行先として予定するOSを聞くと、最も多かったのは「Windows 7」で、9割以上の企業が選択した(図10)。
 
Windows 8を導入する予定の企業は、現時点では2割程度にとどまる。「一部導入する時期」と[全社的に導入する時期]をそれぞれ聞くと、Windows 8を「全社的に導入済み」と回答した企業はなく、「一部導入」とした企業も14.7%だった。「全社導入の予定なし」との回答は77.6%、「一部導入の予定なし」という回答は55.6%に上る(図11)。
これについてJEITAは、「企業が新しいOSを導入する場合、導入済みの既存システムや従来の業務手順などに問題が生じないことを確認するため、導入前に半年~1年襴度の評価を行うのが一般的。この調査時点で、Windows 8はリリース後半年しか経っていない新しいOSであり、企業での評価が完了していないため、Windows 7を選択する企業が多かったと考えられる」と分析する。
 
実際に回答企業の中には、「業務に必要なソフトウエアの動作検証が済んでいない。今のところ業務向けのOSではないと考えている」(商社/流通/小売業、500~999人)といった声が目立った。
◆Office 2003も終了
一方、XPと同じ2014年4月にサポートが終了するOffice 2003の利用状況はどうか。2013年3月時点で使用しているオフィスソフトの種類を聞くと、『Office 2003』と回答した企業が最も多くて79.9‰約8割の企業が、間もなくサポートが切れるOffice 2003 を使用している実態が浮かび上がった。サポートが既に切れている「Office 95/97/2000」「OfficeXP」を使っているとの回答もそれぞれ2割程度あった(図12)。
 
JEITAはこうした企業の状況を、「Officeはボリュームライセンスなどを通じてパソコンとは別に購入するケースが多い。このためOS以上に、同じバージョンを継続的に使用する傾向がある」と見る。
 
XPのサポート終了ばかりに目が向きがちだが、Office 2003も同様にサポートが終わり、セキュリティ更新プログラムなどが提供されなくなる。企業としては注意が必要だ。
 
Office 2003を最も多く使っている企業が、主にどのOSを使っているかを調べると、一番多かったのは「Windows XP」で83.0%(図13)。この組み合わせでパソコンを使用している企業にとっては、XPの移行と同時に発生するOffice 2003の移行問題が、工程とコストの両面で重くのしかかる。
4割がiPad導入、Win 8への期待も
企業が業務でスマートフォンを活用する動きが広がっている。法人契約でのスマートフォンや携帯電話の利用状況を端末の種類別に聞くと、「一部の従業員に導入」とする回答が、Android搭載機は35.2%、アップルの「iPhone」は33.2%だった(図1)。ともに2012年度調査から10ポイント程度増え、3割を超えた。
 
こうした業務利用のスマートフォンに対し、どのようなセキュリティ対策を実施しているかも聞いた。最も多かったのは、40.7%の企業が実施していた「遠隔地からの端末の口ックや初期化機能」。紛失時への備えである。これに「ウイルスやマルウエアの対策機能」(36.4%)、「紛失時などに端末の位置を特定する機能」(29.3%)が続く(図2)。
 
目を引くのは、どの対策についても、取り組んでいるという回答の割合が、前回調査より高いこと。「特に導入していない」とする企業は32.8%と、前回調査から8.5ポイント低下。セキュリティ対策が進んでいる。
 
タブレットについては、アップルの「iPad」に勢いがある。42.9%が「一部の従業員に導入」していると答えた。 Android搭載タブレットについては、「一部導入」が15.9%にとどまった(図3)。
 
Windows搭載タブレットでは、2012年狄以降、タブレットとしても使える「兼用ノート」や、ディスプレイ部を取り外すとタブレットになる「分離型ノート」が多数登場した。しかし、その導入企業は少なく、まだ浸透はしていない。ただ、「導入を検討」という企業がいずれも15%を超えた。リコージャパンの八條センター長は「何台か試験的に導入したいという引き合いは多い」と話す。iPadやAndroidと同等に、企業が高い期待を寄せている。
◆BYODには前向きに
スマートフォンやタブレットについては、従業員が所有する端末を業務で使う「BYOD(Bring Your Own Device)」。の考え方が注目されている。取り組みの状況を聞くと、「全社的に取り入れている」(2.1%)、「一部の部署で取り入れている」(6.8%)と少ないものの、検討中の企業を含めると、前向きな回答が4分のl近くに達した(図4)。
前回調査では、同様の前向きな回答は約15%だったので、BYODはじわりと浸透しつつあるようだ。特に、情報処理/ソフトウェア関連の企業で取り組みが進んでいる(図5)。
とはいえ、企業の回答をつぶさに見ると、BYODに対する期待と不安が見え隠れする(図6)。コスト削減や生産性の向上を期待する一方で。情報漏洩対策や就業規則の整備を課題と感じている企業が多いようだ。
SaaSの利用企業は増加の一途
グラウトサービスを利用する企業は年々増える一方だ。特に広がっているのが、メールやグループウェアなどの、ソフトウェアをサービスとして提供する「SaaS (Software as a Service)」である。「全面的に利用」が2.1%、「一部のシステムで利用」が34.5%だった(図1)。今回の調査では「利用を検討」とする回答を含めると、ついに5割を超えた。
 
SaaSほどではないが、OSやミドルウエアなどを提供する「PaaS(Platform as a Service)」や、サーバーやストレージなどのインフラを提供する[IaaS (Infrastructure as a Service)」の利用企業も増えている。「全面的に利用」「一部のシステムで利用」との回答は、PaaSが12.9%、IaaSが12.5%に増加(図2)。2012年度の前回調査では、PaaS、IaaSともに7~8%程度だった。
 
こうしたグラウトサービスで、具体的にどのようなシステムを動かしているのか。回答で多かったのは、「メール」(58.6%)、「グループウェア」(45.3%)だが、「財務会計システム」「統合基幹業務システム」といった業務システムも、ともに14.3%が利用(図3)。重要度の高いシステムでも、クラウドを利用し始めている。
クラウドと同様、データセンターを利用するサービスとして「コロケーションサービス」がある。「ハウジングサービス」とも呼ばれ、自社サーバーをデータセンター内の堅ろうな環境に設置できる。利用状況を聞くと、「全てのサーバーについて利用」が5.0%、「主要なサーバーについて利用」が26.8%だった(図4)。
重要性は理解するも策定は進まず
2011年3月に発生した東日本大震災で、BCP(事業継続計画)策定の必要性を痛感した企業は多かったはず。だが、その策定状況を聞いてみると「2011年度以前に策定済み」という企業が27.6%、「2012年度に策定」が10.8%、「2013年度に策定予定」が9.6%と、あまり進んでいない。
  
業種別に見ると、金融/証券/保険業が突出して進んでおり、「2011年度以前に策定済み」が82.8%だった(図1)。監督省庁からBCP策定を厳しく求められているためだ。
  
情報処理ノソフトウェア関連も「2011年度以前」が38.6%、「2012年度」か10.5%、「2013年度に予定」が10.5%と、比較的取り組みが進んでいる。しかし、ほかの業種は、2013年度までにBCPの策定を終える企業が5割に満たない見通し。特に商社/流通/小売業は遅れが目立つ。NTTコミュニケーションズ・第二営業本部の森正敏担当課長は、「BCPの重要性は理解していても、数値目標を含めた計画にまで具体化できていない企業が多い」と分析する。
  
BCPの策定済み企業に、具体的に何をリスクとして想定したかを聞いた。最も多いのは「地震」の94.2%(図2)。停電やシステム障害、通信障害など、情報システムを直撃するリスクを想定する企業も多い。
  
具体的な対策としては、「無停電電源装置(UPS)の導入」が83.8%で最多(図3)。「バックアップデータの遠隔地での保管」(49.3%)、「社外データセンターにサーバーなどを移設」(35.1%)が続いた。

 

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