作業員不足を、一括打設で解決!


建設現場で声高に叫ばれる、作業員不足。
仙台市の橋梁の新設工事は、復旧工事のあおりを受けて、人手不足状態に陥りました。
その困難を打開したのは、足場設置や配筋作業を集約化できるキャンバーフォーム工法でした。
人手不足と工期短縮を実現したこの工法は、知り合いの会社からの情報提供がキッカケだったそうです。
やはりどんな仕事でも、日頃からのネットワークが大事ですね。
20m橋脚の一括打設で打開
復旧とは関係のない橋梁の新設(仙台市)
・震災後に復旧工事を優先させるなか、震災前に開始した工事は人手不足の影響をじかに受けた
・作業を集約できる工法の採用で作業員の手持ちを減らす
被災地でまん延する人手不足。その傾向は、緊急性の高い復旧工事よりも通常の工事で顕著だ。
 
仙台市の広瀬川上流部で実施された新鳴合橋新設工事は、人手不足の影響をじかに受けた現場の一つだ。施工者は鹿島と奥田建設(仙台市)のJV。渓谷に大口径の深礎杭基礎とP1橋脚を構築後、張り出し工法で長さ約160mのPC(プレストレスト・コンクリート)桁を架設する。
工期は2010年12月~13年3月。冬季の準備期間を経て工事を始めようとした矢先に震災が発生した。被災地の発注者は、震災時点で受注済みの工事に4ヵ月の中止命令を出す。震災時に作業を開始していた他現場と異なり、新鳴合橋の現場では、実際の作業に従事する建設作業員を抱える下請け会社との契約が、これからという段階での中断だった。
11年7月に中断は解除されたが、復旧工事が本格化するなか、作業員の新たな確保は困難を極めた。
◆作業員の到着遅れて工程ずれる
それでも鹿島JVは、喫緊の作業に必要な人員を集めて、同年8月末から工事を再開した。ただし工程は徐々に遅れ始める。
現場付近は、切り立った崖に歩道のない1車線の道路が走るだけで、工事用の作業スペースがない。深礎杭やP1橋脚の施工には、現道を谷側に拡幅して重機を据える場所を確保し、谷底に作業構台を構築する必要があった。工事にはそのほか、法面への法枠やグラウンドアンカーの設置など多岐にわたる作業力斗半う。
「人手不足がたたって、必要な作業員を、工程どおりにタイミングよくそろえることは非常に難しかった」と、鹿島JVの田村富夫所長は話す。現道の拡幅が終わっても、予定した杭打ちの作業員の到着が遅れて構台の設置が始めらないこともあった。1~2週間の単位で工事が進まないケースも珍しくなかった。
震災後に引き直した工程で、12年3月に終える予定だった深礎杭基礎が、同月にようやく取り掛かれるというほど、工事は遅れていた。工事全体の工期を守るには、同年8月までにP1橋脚を構築して上部工事に取り掛かる必要があったものの、このままでは不可能だった。
工期短縮はもちろん、今後も続く人手不足の解消策も考えなければならない。そこで、知り合いの会社からの情報提供をもとに奥田建設が提案したのが、新設では適用実績の少ない「CF(キャンバーフォーム)工法」だった。
◆型枠や鉄筋を一度に積み上げる
同工法は、清都組(北海道石狩市)が06年に開発したコンクリート打設用の型枠組み立てを省力化する技術だ。新技術情報提供システム(NETIS)に登録されている。同JVは同工法を使って、高さ20m、長辺8m、短辺3mの八角形断面のP1橋脚を1日で打設した。
工法の特徴は、足場と型枠を差し込むガイド用のH形鋼、型枠、鉄筋を、それぞれ一度に積み上げて、一気にコンクリートを流し込む点にある。
一般的には、型枠の高さ3.6~5.4mを目安に、足場設置、型枠構築、配筋、コンクリート打設、養生を実施。これを1サイクルとして所定の高さまで、作業を繰り返す。
ただしこの場合、大工や型枠工、鉄筋足場鉄筋工、コンクリート工を各施工段階で呼び集める必要がある。作業員がタイミングよく集まらなければ、工程に遅れが生じ、工期は延びてしまう。作業員を囲い込む手がある一方、作業をしない「手待ち」の時間が発生するため、人件費は膨らむ。
CF工法はこの繰り返し作業をやめて、足場設置や配筋などの作業を集約した。作業員を抱える下請け会社は、現場に一度来て仕事をすればよい。作業員を呼び集めやすくなるというわけだ。
足場や型枠をまとめて積み上げることから、倒壊対策にも特徴がある。
通常は、打設済みの下層のコンクリートを控えにして、上層の足場や型枠を固定する。しかし、同工法はコンクリートを1回で流し込むので、控えが取れない。そのため、地盤や作業構台からワイヤで足場の控えを取るほか、型枠とH形鋼、対面のH形鋼同士をつないで、仮設全体で倒壊を防ぐ構造にしている。
◆2.5月から1ヵ月に短縮
新しい技術は、その効果や現象を理解するまで、採用になかなか踏み切れないものだ。しかし、不測の事態に陥った現場では、一刻も早い決断を迫られる。決断の遅れは、工程や原価に響く。
田村所長も初めは、「20mどころか10mを一度に打設した経験も皆無だった。コンクリートの側圧の影響などを考えると、1回での打設は不可能だと思っていた」と振り返る。
それでもCF工法の実施を決めたのは、工程を軌道に乗せられるという理由のほか、「打設理論は間違っていない」との考えからだ。弱点の打ち継ぎ目が不要になる「1回での打設」は理想の工法のはずだ。
「40~50mの場所打ち杭は一度に打設するのに、橋脚は不可能だとする明確な理由はない」(田村所長)。懸念されたコンクリートの側圧の影響は、足場を含めた仮設全体で受け持てば、問題ないと判断した。
ただし、田村所長は万が一を想定。型枠の傾きを測量して、変位が5cmになれば打設中止という‘保険”をかけた。型粋が変状をきたしても、中断して打ち継ぎ処理をすれば、打設したコンクリートは無駄にならない。実際の変位は0.5~1cmしか生じず、無事に打設を完了。ひび割れは想定内に抑制できた。
通常の打設工法では、作業員をタイミングよく呼び集められたとしても、橋脚の構築に2.5ヵ月を要する予定だった。CF工法の採用でそれが1ヵ月に短縮。予定どおり、12年8月に上部工事に移れた。同工法の採用に伴う施工費用は増加したもの、工期短縮で経費は大幅に削減できたので、橋脚の構築に掛かる総コストはほぼ変わらない。
◆熟練の技術が必要ない
CF工法はこの採用を皮切りに、復興工事で使われる機会が増えた。14年4月時点で、国土交通省や県の復興工事で5件に適用。「職人不足に対応できる」、「工期短縮につながる」などの点が評価されているようだ。
同工法を開発した清都組の清都一章社長は、「一般の作業員でも習得できる型枠の組み立て方法だ」と説明する。通常の型枠組み立てには加工作業を要するため、熟練の技能が必要だった。同工法は建て込んだH形鋼に規格化した型枠を差し込むだけで済む。
“必要は、発明の母である”―そのことを思い起こさせる事例です。建設工法の進化にもアンテナを張ることが、優れた現場監督への道にもつながりますね。

 

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