難しいプロジェクトほど燃える日揮のDNA


OPCでは、海外の技術者派遣の案件を多数扱っています。
ただ、実際の仕事の現場は残念ながら詳細にお伝えすることはできません。
そこで、実際のお取引先でもある日揮を特集している記事を見つけましたので、ご紹介したいと思います。
灼熱の砂漠地帯で、どのように巨大プラントを構築していくのか。
その高い利益率は、どのように実現されるのか。
気になる実像を詳細に伝えてくれるレポートです。
日揮 プラントエンジニアリング会社
難しい工事ほど燃える
洋上や極寒地など難所で、LNGプラントを相次いで受注している。
多国籍の労働者を束ね、コスト管理の徹底で高い利益率を誇ってきた。
プロジェクトが巨大化する中、リスク管理能力の真価が問われる。
4月下旬、日揮の川名浩一社長はアルジェリアの首都アルジェにいた。テロ事件で関係者17人を失ってから1年以上経った今も、襲撃されたイナメナスの天然ガス関連施設は工事がほとんど止まったままだ。
対面した発注元の国営炭化水素公社(ソナトラック)のゼルクイン総裁は強く訴えた。「日揮に帰ってきてほしい」。アルジェリアにとって、天然ガスの生産は経済成長に欠かせない。1960年代から多くのプラントを建設し、現地の信頼が厚い日褌に工事をもう一度託そうというのだ。
川名社長は施設での設備や軍隊などの安全対策を一つひとつ聞いた上でこう告げた。「すべての関係者が安全対策に納得できるかどうかが大事で、我々だけでは決められない」。 
灼熱の砂漠、高温多湿のジャングル。日揮は居住や作業が難しい地域で巨大プラントの設計・調達・建設(EPC)を手掛けるプラントエンジニアリング会社だ。もともと危険を伴う仕事とはいえ、テロで人命を失う衝撃は大きかった。
 
二度と同じ被害に遭わないように、本社のセキュリティ一対策組識を「部」から社長直轄の「本部」に絡上げし、海外から専門家を呼び人数を4人から12人に増やした。経営陣は今、関係者と協議しながら慎重にアルジェリアでの工事再開の時期を探っている。
並の企業ならひるんだだろう。しかし野武士と呼ばれタフな人材が揃う日揮は、事件以降も行動原理を変えなかった。イスラム武装勢力による残虐な現場から生還した生存者は、既にほかの海外の建設現場などに赴いた。日揮の関係者は言う。「内面に複雑な感情を抱えているだろうが、技術者は大きなプラントを作るのが生きがい。新しい現場で泥にまみれ汗を流している」。
 
川名社長は「難しいプロジェクトほど燃えるのが日揮社員のDNA(遺伝子)」と言う。難所での巨大なプロジェクトでも、品質、スケジュール、コストを確実に管理しながらプラントを完成させる手腕への評価は高い。世界70カ国で2万件のプラントを建設した実績が、それを裏付けている。
◆利益率で競合他社を圧倒
 
ここ数年、業界でLNG(液化天然ガス)需要が急増していることが収益の追い風になっている。新興国などの経済成長でエネルギー需要が拡大している。さらに、日本で原子力発電所が停止し、電力大手が火力発電用の燃料を多く購入するようになっているためだ。日本が輸入するLNGの半分ほどは、日褌が作ったプラントで生産されている。
2014年3月期の営業利益は前の期比6%増の682億円と過去最高を更新した。この数年は受注残が1兆円を超え、増益基調を続けてきた。
プラント業界全体がLNG需要増の追い風を受けているが、中でも日揮は競合他社より利益率が高い。同社の前期の売上高営業利益率が10%超なのに対し、競合する千代田化工建設は5%。基準は違うが米KBR、米CB&Iは6%程度だ。中東で多くのプラント建設の受注を獲得している韓国企業も、計画よりコストが膨らみ苦しんでいる。代表格の韓国サムスンエンジニアリングは赤字に転落した。
 
日揮の利益率が高いのは、高付加価値の難しいプロジェクトを低いコストでやり遂げるノウハウを培ってきたためだ。
 
そのノウハウは一朝一夕には身に忖かない。まず、洋上や極寒地など難工事が予想されるプロジェクトを率先して受注する。着工後、予想外のリスクに直面しコストが膨らむこともある。だが経験を重ねるうちに、独自のリスク管理手法をいち早く磨き上げる。
 
例えば、現在高い収益性を誇るLNGプラントは、1970年代にいち早く日揮が建設した。失敗から多くを学び、競争力の高いプロジェクトマネジメントを作り上げてきた。その強さは、最先端の分野でも発揮されている。 
今年2月、あるニュースが世界のプラント業界を駆け巡った。マレーシア国営石油会社ペトロナスが計画する洋上LNGプラントのEPCを、日揮が受注したのだ。同国東部サパ州の沖合185kmにプラントを建設し、2018年からLNGを生産する。
需要拡大を受け、LNGの開発が陸地だけにとどまらず海にまで広がってきた。だが、洋上LNGは波によって揺れる上、建設の実績が少ないためコストを読みにくい。既に仏テクニップが2件を受注しているが、いずれも深海ではない。その意味で、水深1500mの深海から天然ガスを掘り出し、LNGを生産する難度の高いこのプロジェクトは、今後のプラント業界の趨勢を占う重要な案件だった。
 
ここには日揮だけでなく、IHIと三井海洋開発、東洋エンジニアリングなども応札した。だが、ペトロナスの希望する価挌とブラント会社の提示価格に乖離があり受注企業が決まらない状態が続いていた。
そこで日揮は、ある切り札を投入した。昨年12月末、アジア・オセアニア営業部の関川匡秀部長は、重久吉弘グループ代表を伴ってマレーシアに飛んだ。80歳の重久代表は海外営業の長として、日揮の海外展開を指揮してきた。世界のプラント業界で知らない者はいない。欧米の石油メジャーや、国営石油会社との人脈も深い。
首都クアラルンプールの高級イタリア料理店で、重久代表は旧知の仲であるペトロナスのタンサリ・シャムスルCEO(最高経営責任者)とテーブルを囲んだ。昔話に花を咲かせ、そのうち話題は洋上LNGへ移る。そこで、おもむろに価格の大幅な引き下げを提案した。するとシャムスルCEOの表情に変化が表れた。業界の重鎮である重久代表自らが出席し、周到に準備した大幅な値下げを切り出して受注を迫る、その執念が相手に伝わった瞬間だった。
業界では「赤字受注では」と噂されるほどの価格引き下げだったが、日揮は「一定の利益は確保する」と言う。それは、会談直前までの約3ヵ月でコスト削減策を徹底的に練り上げて作ったものだった。
◆モジュールエ法に強み
横断的な対策チームを結成し、約100項目のコスト削減策を検討した.そこでは、設備をマレーシア国外のよりコストが安い地域で作り、日揮が世界で先行しているモジュール手法を採用することなどが盛り込まれた.
モジュールエ法とは、プラントを構成する蒸留設備やタンクなど複数のモジュールを陸上で作った後、船上に運び、組み合わせる。船上で一から建設するより効率的だが、複数のモジュールをつなぎ合わせる作業が膨大で難しく、技術力の差が鮮明に出やすい。日揮はマレーシアで他社に先駆けて深海での採掘が可能な実践的手法を確立し、今後増えることが確実視される洋上プラントの受注競争を有利に運ぶ考えだ。
◆調達先の倒産リスクを回避
こうした新しい種類のプロジェクトでは特に、実際の工事に入ってから発生しがちな予期せぬリスクをいち早く察知し、対応できるかが重要になる。情報収集力と判断力が試されるのだ。その面で、日揮の底力を示す事例がある。
 
2012年、日揮が東南アジアで手掛けたあるプロジェクトで、資材の調達先が倒産するというリスクに直面した。調達部門がタワーやドラム、圧力容器など機器を生産する韓国のA社の経営状況が変化し始めていることを、同年1月に察知した。労働者への支払い遅延などが起きているという内部情報を、いち早くつかんだのだ。
さっそく調達部長がA社に問い合わせると、「資金不足だが解決できる」との返答。しかし、不安を払拭できないため、社内にプロジェクト部と調達部からなる検討チームを立ち上げた。倒産という最悪の事憩も想定し、別の会社に代替発注する準備も始めた。
倒産して裁判所の管理下に入ると資材などを持ち出せなくなり、傷口が深くなる。別の調達先へ代替発注すると、10億円のコストアップになり、納期が5ヵ月も遅れてしまう。期限は迫り、プロジェクト責任者はギリギリの決断を迫られた。結局、倒産を前提に、2月中に代替発注を決断した。なぜか。
世界で2万件に上るプロジェクトを手掛けてきた日揮。詳細な調査のデータと社内に伝わる経験則が、小さな損失にひるんで決断が遅れるより、早めに最悪の事態を想定して動いた方が、結果的には傷口が浅くて済むことを教えていたためだ。
日揮社員がすぐA社の工場に向かい、設計図や資材などを引き揚げて、港まで運んだ。作業が終わった直後の3月中旬にA社が倒産し、裁判所の管理下に入った。A杜に資材を発注していたプラント会社はほかにもあったが、資材を持ち出せなくなり、日揮と明暗を分けた。緻密なプロジェクト管理で、損失を最小限に抑えたのだ。
世界の様々な現場で通用するこうした管理能力は、入社直後から徹底的に鍛えられる。現在入社3年目のプロセスエンジニア、周玥氏は1年目にいきなりカタールのガス処理プラントの建設現場で6ヵ月間働いた。経験がない女性ということもあり、現地の労働者は彼女の言うことを聞こうとしなかった。と‘うすれば指示に従ってくれるのか。試行錯誤した結果、説明の仕方を根本から変えることにした。
個別の工事ごとに細かい注文をつけるより、まずプラントの全体像を示し、労働者にも理解させた上で、なぜその順番で工事が必要かを丁寧に説明した。すると労働者たちの彼女への態度が徐々に変わっていった。業務の最前線に放り込まれ、もまれることで、一人前のエンジニアとして認められるようになっていった。
これからも需要は堅調と見られているEPCだが、課題もある。今年5 月14日。株式市場に、日揮ショックが走った。
同社は、2015年3月期の営業利益が前期比19%減の550億円になると発表。収益性の高いプロジェクトが一巡し、営業利益率も7%に下落する。市場予測を大きく下回ったため、株価は前日比13%下落し、東証1部の下落率2位となった。同業の千代田化工の営業利益率は4%と、さらに低い水準だ。
◆常に挑戦する環境を作る
アルジェリアのテロ事件で、我々は本当に悲しい思いをして、社内の安全対策を強化した。アルジェリア政府とは40年の付き合いがあって兄弟のような関係だ。私が現地に行った際には政府関係者から何度も謝られた。万全の対策ということはないので、心の中ではいつもヒヤヒヤしているが、海外で挑戦しなけれぱ日揮らしさが失われてしまう。
昨年11月にイラクの首都バグダッドでシャハリスターニ副首相から太陽光発電所の建設と運営を頼まれた。電気は社会を明るくする。治安などの面で難しい国だが、電力不足の解消に少しでも貢献したい。
新興国などの経済発展に貢献するのが我々のビジネスであり、資金がない国もあるので、今後はEPCだけでなく、投資を伴う事業も強化していきたい。
主力のEPC事業では世界でエネルギー消費が伸び、LNGプラントの需要が急増した。シェール革命で北米市場が勃興したほか、アフリカ市場も拡大している。
陸上から洋上へというトレンドもあるので、そこで実績を積むことが次の受注につながる。海上でプラントを一から造ることは難しいので、陸上でモジュールを作って船上で細み立てる工法が必須になる。このモジュールエ法は労務コストが高い地域や極寒地にも応用できる。新しい分野で先行できれば、企業の発展につながる。
その考えは人材育成でも同じ。牡員にはあまり長い間、同じ地域を担当させない。同じ担当にとどまると慣れが出てきて成長が止まってしまう。5~6年で新しい担当に就かせて、常に挑戦させるような環境を作っている。
50年以上海外を飛ぴ回って感じるのは、真面目で誠実な日本人の気貿は世界でブランドになっていること。プラント建設現場で数万人の多国籍の労働者を束ねることができるのは、気配りのできる日本人だからこそ。
こうした良さを受け継ぐために、新入社員には1年目から海外の建設現場で訓練をさせている。(談)
背景にはEPC市場の構造的な変化がある。これまで主戦場は中東や東南アジアだったが、北米や、ロシア、アフリカなどでも需要が拡大してきた。総事業費が1兆円を超えるプロジェクトも増え、見積もりが甘かった場合などに被るリスクが拡大した。
受注後に新たなコストダウンをしても、プラント会社の手元に入る利益額が変わりにくい契約形態が出始めているという要因もある。利益率の水準をどう維持でさるかが課題だ。
このため、6月に財務統括役員の佐藤雅之副社長が会長lこ就任する人事を決めた。「計数管理的なアプローチで経営を捉える強みを生かしたい」と佐蘓次期会長は語る。大きな権限を持つ会長の立場から、全社の採算管理に目を光らせる。
◆事業投資にも業態を拡大
そして、新たな成長の糧として取り組み始めたのが事業投資だ。設備を受注して建設し、相手に引き渡すプラント会社の枠を越え、事業から生み出される安定収益を長期的に確保する。そこでも、強みである技術力を生かす。
例えば、日揮が開発した、低品質石炭を石油のような液体燃料に加工する技術を使う。プラントを建てるだけでなく、低品質石炭から液体燃料を生産し、販売する事業を検討中だ。インドネシアで実証機を建設し、試験運転を始めている。事業主体になるPTJGCCoalFuelの藤田哲男社長は、「(液体燃料に)関心を持つ企業は多い」と語る。既に世界の各地で電力や都市インフラ開発、病院運営などの事業に投資を始めており、ミャンマーの空港事業にも応札した。
砂漠やジャングルから洋上、極寒地まで。事業投資でも未開のプロジェクトへ、果敢に挑む。緻密な野武士たちの実力が、さらに大きなステージで試される。 
テロに遭った人でも、すぐ次の現場に向かうタフさ。
「技術者は、大きなプラントを作るのが生きがい。新しい現場で泥にまみれ汗を流している」という言葉が、印象的です。
日揮というブランドパワーの根源が、すこしわかる気がします。

 

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