綿密な工程管理が、トラブル円滑処理を可能に


今、建設現場では、土木一級施工管理技士の資格を持った現場監督が圧倒的に不足しています。
河川や道路、橋や港湾、鉄道など重要な社会インフラの土木工事において、主任技術者もしくは監理技術者として施工計画を作成し、現場の工程監理、安全監理を行う人々です。
OPCでも、現場監督を求める案件を多数扱っています。
そういった人々は、現場でどんなスキルが求められ、どう動くのか。
今回ご紹介するのは、「作業が一つでも計画通りに進まなければ、工期内に工事が終わらないという状態が約5ヶ月も続いた」という逆境下で、見事仕事をやり遂げた人々のリアルストーリーです。
余裕のない工程、人手不足…。ヒントは、綿密な施工計画にありました。
綿密な工程でトラブルを円滑処理
○変状のあった橋台の撤去・新設(三重県紀北町)
・作業員を確保しづらい状況下で、沈下した橋台の対策工事を短工期で進めなければならなかった
・下部と上部、舗装を施工する3社が協力して工程計画を作成した
「作業が一つでも計画通りに進まなければ、工期内に工事が終わらないという状態が約5ヵ月間も続いた。これほどまで長期間にわたり、危機的な工程が続いた経験は今までになかった」。
東急建設出垣内作業所の水井隆之工事主任は、そう感慨深げに話す。水井主任は国土交通省中部地方整備局が発注した紀勢線出垣内地区道路建設工事で、現場代理人を務めた。
現場は三重県紀北町にある近畿自動車道紀勢線の一部。赤羽川橋のA1橋台とトンネルの間の土工が主な工種となる一般的な道路工事として終わるはずだった。ところが、2013年4月末に事態を一変する出来事が発生する。別会社が構築したA1橋台が大きく沈下して、使えなくなる事態になったのだ。
隣接部の道路土工を担っていた東急建設は、主な対策工事を一任される。発注者から課せられた条件は、「13年度内の開通」だ。タイムリミットまで約10ヵ月間しかなかった。
同社A1橋台付近で既に盛り土を施工していた。それを掘り起こして、変状のあったA1橋台を取り壊し、かつ新しい橋台を遣る(右上の図参照)。別の会社が担当する桁の架設や舗装の工事を含めた全体の工程に配慮しながら工程管理をしなければならなかった。水井主任は、「通常どおりのやり方では、絶対に間に合わなかった」と振り返る。
ただでさえ工程に余裕のない現場を、さらに「人手不足」の問題が襲う。建設作業員を十分に確保できないなか、最短で現場を進める手法が大きな課題となった。
◆歩み寄らねば間に合わない
短期間で工事を進めなければならない際、まず考え付くのは人海戦術による突貫作業だ。ただし、先述したように手配できる人手は限られる。下請けを担う会社も、長時間拘束される割に利益を出しにくい突貫作業を敬遠しがちだ。
「効率良く作業してもらい、長期間拘束せずに次の工事へ向かってもらう条件であれば、協力会社は来てくれる。それには綿密な工程、詳細な施工計画が必要だった」と水井主任は説く。
特に工程計画の作成には、かなりの労力を費やした。東急建設1社だけでなく、桁の架設など上部工を担当する瀧上工業(愛知県半田市)や舗装工事を担うガイアートT・Kのほか、国交省や設計を担うエイト日本技術開発が何度も一堂に会して、工程をすり合わせた。各社が歩み寄ってはじめて、3月末の完成が見えてきた。
工期は、当初に比べて1ヵ月ほど短縮できた。ポイントは、施工の取り合い部の作業手順の変更にあった。例えば、東急建設と瀧上工業との取り合い部では、落橋防止装置が支障となって生じる盛り土工事の遅れが懸念された。 
開通から逆算すると、東急建設は14年1月下旬までにA1橋台を構築して、現場を瀧上工業に引き継がなければならなかった。そのうえ、瀧上工業が桁を架設して落橋防止装置を設置するまで、東急建設は橋台背面の盛り土施工には着手できない。結果、舗装工事会社に盛り土区間を引き継ぐタイミングは遅くなる。
◆工程を単純化して干渉避ける
そこで東急建設と瀧上工業が提案したのが、先付け型の落橋防止装置だ。同装置を橋台にあらかじめ埋め込んで、桁の架設後に、桁と橋台をつなぐ構造に改める。
これによって瀧上工業が桁を架設する間に、東急建設が橋台背面の軽量盛り土の施工を進められる。2社間の引き継ぎが一度で済み、工程を単純化できた。
そのほか、A1橋台と桁の取り合い部では、仕上げ作業の手順に変更を加えた。通常の手順では、橋台に変位制限用のコンクリートを打設した後に、桁の架設に取り掛かる。
それをこの現場では、橋台を構築してから瀧上工業が先に桁を架設する手順に変更。同社が橋面の仕上げ作業に取り掛かって桁下空間が空いた際に、東急建設が再び橋台に上って、変位制限コンクリートを設置するようにした。
変位制限コンクリートの打設に必要な工程は元々、全体工程におけるクリティカルパスの一部だった。それを桁の架設と並行して進めるように手順を変更した結果、クリティカルパスから外せたわけだ。約7日間の工期短縮につながった。
足場の設置・撤去の手間も減らした。東急建設が橋台構築用に設置した足場を撤去せずに瀧上工業が桁架設の昇降用足場として転用。瀧上工業が吊り足場を設置するのに支障となる足場の撤去については、吊り足場の設置と同時に進めた方が早いとの判断で、同社のとび工が担当するように取り決めた。
◆型枠工の悩みを聞いて解決
3社が協力して作成した工程は、余裕を除いたかなり厳しいものだ。そのため、東急建設は下請け会社の作業員との入念な打ち合わせで、作業リスクを引き出し、未然の防止策を考えた。同社の池田澄人副所長は、「働く人の悩みを聞いてそれを解決してあげれば、工程に余裕が生まれる」と説明する。
橋台の構築では、型枠工や鉄筋工から工期短縮を図るための提案を求めるとともに、現実的にその策が実現可能なのかどうか意見を集めた。型枠工からは、パネルを大型化して設置の手間を減らす提案のほか、過密な鉄筋のため、セパレーターの設置に時間を費やすかもしれないという悩みを吸い上げた。 
そこで池田副所長は、型枠の仮設計算から必要なセパレーター数を算出。鉄筋と干渉しないようにセパレーターと配筋図の位置関係を示す資料を作成した。
作業員はその資料をもとに手が空いたときに事前にセパレーターを型枠に取り付けられる。足場上での作業の省力化につながり、工程に余裕が生まれた「目標」提示で工事の完了を確信 水井主任は、深礎杭の構築が始まった13年10月時点で、「現場はばたついており、予定どおり終わる確証がなかった」と思い起こす。それが12月には、翌年3月末の完成が確実に見えてきたという。
進捗が早まって工程に余裕が生じたわけではない。池田副所長の協力の下、年度内開通などの目標を現場で徹底して掲げ、その目標が下請け会社にも浸透してきたからだった。
「実工程は、計画から1週間ずれたことがない」と、水井主任は胸を張る。徹底した工程管理の末、同現場は無事に完成。 14年3月末に開通した。
こういったことは、現場経験を積まないとわからないかも知れません。
いろんな人とコミュニケーションを取り、必ずGOALを遵守する。
「働く人の悩みを聞いてそれを解決してあげれば、工程に余裕が生まれる」という言葉が、とても印象的でした。
まさに、プロの仕事です。

 

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