英語力=グローバル力?


OPCでは、海外開発コンサルタントによる発展途上国支援業務、海外の建設プロジェクト支援業務で英語を使用します。
では、そういった現場のシーンでどれくらいの英語力が求められるのでしょうか?
もちろんTOIECの点数は、大きな指標にはなります。しかし、それ以外にも大事なことがたくさんあります。その辺について、同じアエラ2013年12月2日号の興味深い記事をご紹介します。
英語力=グローバル力か
TOEIC900点でOK?
「グローバル人材」を育てるため、小学3年生から英語の授業が始まることになるという。
世界で働ける人材になるには、語学力はどの程度必要なのか。
埼玉県の日本工業大学が今年9月に実施したベトナム研修に参加した学生25人のうち、海外旅行の経験があったのは2人だけ。パスポートすら持っていない学生がほとんどだった。純ジャパニーズの「職人の卵」たちは、もちろん英語も得意なほうではない。
現地で共同研修をしたダナン工科大学の学生も、英語ネイティブではないという条件は同じ。ダナン外国語大学日本語学科の学生たちが通訳に入り、研修は「日本語」で進められた。
電子機器組み立て研修では、ストップウオッチ、防犯ブザー、ミニ扇風機各3個ずつをすべていったん解体し、制限時間内に復元する。学生たちは身ぶり手ぶりで技術を伝え合い、グループ作業を着々と進めていった。
研修を企画した「インターンシップ」代表の尾方僚さんは、この光景を目の当たりにして愕然とした。
「TOEIC900点なんて、現場では意味をもたない。やりたいことが明確で、その能力が海外で求められてこそ、グローバル人材といえるのではないでしょうか」
尾方さんは外資系企業で採用コンサルタントをしてきた経験から、企業が求める能力や人物像と、学生とのミスマッチを痛感していた。
海外志向の高い文系の学生が志望するホワイトカラー層は、すでに飽和状態。一方、製造業の海外進出によってレベルの高い職人は引く手あまたなのに、彼らは英語力に自信もなければ海外を意識したこともないため、企業から海外勤務を打診されると尻込みしてしまう。
◆単語レベルで十分
そんな「海外アレルギー」を払拭するため、同大はインド、ベトナムで研修を実施。普段の英語の授業でも、「hammer」など道具の英単語を覚えながら実技も学ぶ「融合科目」を独自に開発した。キャリアデザイン研究室の菊地信一教授はこう話す。
「うちの大学が育てたいのは、『現場のプロジェクトリーダー』。自分の技術を海外で使う可能性があると気づくことが重要で、長期留学は必要ない。英語力は単語や片言で通じるレベルで十分です」
企業のニーズの高まりを受け、文部科学省は昨年度から「グローバル人材育成推進事業」として42大学に年間40億円超を補助。英語教育だけでなく留学支援や大学間交流など各大学の特色を生かした取り組みができるよう、「グローバル人材」の定義にも幅を持たせてある。
「様々なフィールドやレベルにグローバル人材を輩出していくことで、国全体のグローバル対応力の強化を進めます」(文科省高等教育企画課国際企画室)
一方で、今年5月の政府の教育再生実行会議の提言後、小中高校では英語教育強化に向けた動きが加速している。小学校の英語の開始時期を5年生から3年生に早め、3、4年生は週1~2コマ、5、6年生は教科化して週3コマとする。中学卒業時で英検3級程度、高校卒業時で同準2級程度の英語力を達成目標にする。大学入試に米国の英語力試験「TOEFL」を導入する-。
確かに一定の英語力がなければスタート地点に立てない場合もある。アメリカの難関大学に出願するには、TOEFL iBT120点満点中100点は必要だ。今年、アメリカの名門ハバフォード大学に進学した野村善文さん(19)は、高校2年から予備校に通い、ネイティブでも知らないような英単語をひたすら覚え、無料リスニング教材はリスニング、リーディング、シャドーイング(スピーキング)に3段活用。もともと60点くらいと思われた点数を1年間で100点に上げたが、実際の授業で求められるレベルはさらに高いという。
◆飲み会にも通訳
ただ、NPO留学協会理事でAJ国際留学支援センター代表の岩崎宗仁さんは指摘する。
「国際化が叫ばれた時代は2国問のコミユニケーションツールとして英語力が問われたが、いま求められているのは地球すっぽりのグローバルカ。英語力だけ養っていても通用しないのは言うまでもありません」
さらに、ビジネスの舞台は英語圏にとどまらない。
カルビーの有馬るねさんはタイに赴任当初、タイ語がまったくわからなかったが、現地の社員が技術力を頼ってくれたので、話せなくても仕事はできたという。引き継ぎ中の1ヵ月間は前任者に通訳してもらい、その後は語学学校へ。英語より先にタイ語のほうを習得した。
アサヒグループホールディングスの浅井裕さんはイギリスに留学経験があるが、韓国駐在になってから英語を使うことはほとんどない。ビジネスでは通訳を同伴し、部下に飲みに誘われても、深刻そうな話の時は「内容は絶対に他言しないように」と念を押して通訳を伴う。
◆提案書は「丸投げ」
「e-Educationt」代表の税所篤快さんは、英語の提案書を作るのが苦手。海外で事業をプレゼンする際、まず自分がボードを持って身ぶりを交えながら熱く語り、それを見て共感した韓国人やネパール人スタッフに提案書づくりを「丸投げ」する。OECD職員の村上友紀さんが仕事で使ってきたのは英語、イタリア語、フランス語、スペイン語、ポルトガル語……。
「ここまでくると、勢いで何とかするしかありません」
英語ネイティブでない者同士のコミュニケーションは不可欠で、英語の「絶対性」は薄れつつある。留学協会の岩崎さんは言う。
「勧めたいのは『留学(留まって学ぶ)』よりも『流学(流れて学ぶ)』。たくさんの人としゃべって対話力を磨き、アウェーの環境に慣れることが重要です」
たくさんの人としゃべって対話力を磨く-良い言葉ですね。やはり海外の人たちと上手くやっていくためには、言語はあくまで手段であって、その向こう側をイメージできるかどうかが重要なのかも知れません。