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PCキーボード操作活用編

♦オートフィル

コピーと連続データ

セル範囲を選択し、その右下隅をドラッグすることでコピーや連続データの入力が簡単に、素早くできます。例えば「1月」と入力されたセルをオートフィルすると「2月」「3月」「4月」・・・と連続データが入ります。
 
実務で活用する際に覚えてもらいたいのが「Ctrl」キー。

オートフィルではデータの種類によって、コピーと連続データのどちらになるかが異なります。文字と数値はコピー、数字交じりの文字と日付は連続データになります。「OPC21」をコピーしたいのに、ドラッグしたら「OPC22」「OPC23」・・・になって困った経験はみんなあるはず。
 
そこで「Ctrl」キー。「Ctrl」キーを押しながらドラッグすると、普通にドラッグしたときと
反対の動作になります。違う時は「Ctrl」十「z」キーで元に戻し、「Ctrl」キーを押しながらオートフィルし直してください。

また、オートフィル後の右下に「オートフィルオプション」があるのでマウスで変更しても出来ますが、より時短になるポイントは「Ctrl」キーです。

そして以外に知られていないのが、子・牛・寅・卯・・・などの十二支も連続データで表示されます。当たり前の数え方は連続データで表示されます。

 

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◆基本のショートカットキー
「初級操作編」

エクセルならではの便利キーや、エクセル以外のソフトでも使えるワザもあるので是非覚えてください。

マウスよりキーボードでやったほうが早い!!ということがエクセルでは多くあります。例えばコピー/貼り付け。これらはマウスの右クリックするよりも、「Ctrl」十「C」などのキー操作のほうが圧倒的に素早いです。このように特定の機能を出すキー操作を「ショートカットキー」と呼びます。

まずは基本的な「Ctrl」ショートカットキーからご紹介します。
 
◆コピーと貼り付け

「Ctrl」十「C」の操作は「Ctrl」キーを押さえながら「C」キーをポンと押します。これでコピーが完了。貼り付けは「C」の代わりに「V」を。右手でマウスを握ったまま、左手だけでできるのでとてもスムーズです。

 

◆書式設定の開き方

 

◆日付の固定

 

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◆文字の折返し(エクセル)

 

◆キーボードで移動(エクセル)

 

◆端へ移動(エクセル)

 

◆端へ個別移動(エクセル)

 

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◆ウィンドウの切替

 

◆シートの切替(エクセル)

 

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達人が教えてくれるAutoCADベストテクニック100

AutoCADベストテクニックの達人が教えてくれるベストテクニック100

◆できるユーザはやかましい

といってもおしゃべりという意味ではない。キーボードから、コマンドを入力するのだ。だから、オフィスにはカタカタとキーボードの音が鳴りひびく。
 
線分を引くときに、リボンの[線分]ボタンのところにカーソルを移動させたりしない。カーソルは線を引きたい始点位置に置いたまま、キーボードから[L]+[スペース]を入力し、そのままマウスで始点をクリックする。こうするとリボンを使う2倍のスピードで作図できる。

◆一文字コマンドの使い方

[L]+[スペース]もしくは[L]+[Enter]を入力して[線分](LINE)コマンドを実行する仕組みを「コマンドエイリアス」という。エイリアスとは別名という意味だ。 AutoCADにはあらかじめたくさんのコマンドエイリアスが登録されている。
 
もうひとつ、入力の最後に[スペース]もしくは[Enter]を付ける必要のない「ショートカットキー」というのもある。たとえば[F3]キーを押してオブジェクトスナップのオン/オフを切り替えたり、[Ctrl]キーを押しながら[C]のキーで図形をクリップボードヘコピーしたりというキーの使い方ができる。

おすすめのコマンドエイリアスとショートカットキー

筆者おすすめのコマンドエイリアスとショートカットキーは、以下のとおりだ。これぐらいを覚えてしまえばすばやくコマンドを実行することができる。覚えるまでディスプレイの横にでも貼っておこう。どんなコマンドエイリアスとショートカットキーがあるか知りたい場合は、次ページの方法で一覧表示できる。

 

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無線LANをきちんと理解して使う

ブロードバンド環境が急速に充実する中、街のあちこちでノートPCやタブレットを使う人を見かけます。

そのインフラになるのが、無線LAN。

知っているのと知らないのでは大違いな無線LANのツボを、日経パソコン2014年6月23日号からご紹介しましょう。

無線LANをきちんと理解して使う

無線LANは新規格が登場しており、安全のためにも最新の規格を使用したい。今回は、無線LANの仕組みやルーターの設定方法を解説する。

無線LANは新しい規格が策定され、より高速により安全になってきている。利用環境を向上させるためにも、無線LANの仕組みを理解しておこう。
 
無線LANには「親機」と「子機」があり、機器が採用している規格によって最高速度などが異なってくる。
 
また新しい規格は、混雑していない周波数帯を使用するので、より安定した通信が可能だ。
 
使用中の機器が古ければ、快適な通信のために買い替えを検討してもいいだろう。

◆接続が遅いと感じたら

無線LANを使っていて、速度が遅いと感じるなら、実際にどのくらいの速度で接続されているか確認してみよう。前ページの表にある速度を確認し、最高速度よりも極端に遅いようなら、パソコンに内蔵されている無線LANの規格が古い場合や、環境の問題が考えられる。
 
まず、規格の調べ方だが、使用している機器の型番を確認し、Google検索などで型番を入力して検索する。規格が古かったなら、USB型の子機を取り付けるのは有効な手段だ。パソコンの買い替えなどの必要がなく、最新の規格で通信が可能になる。無線LAN機能を有しない一昔前のデスクトップパソコンなどに取り付けてもよいだろう。
 
新しい規格なのに通信速度が遅かったり、通信が突然切断したりするなら、親機の設置場所を確認してみよう。
 
無線LANは電波のため、壁や遮蔽物などに弱い。低い場所に設置すると、遮蔽物に邪魔されたり、反射したりしてしまって弱まってしまうことがある。まず、親機は高いところに置き、電波が安定するか確認してみよう。
 
2階などの遠い場所へは安定して電波が届かない場合がある。こうした状況に向く「中継機」と呼ばれる電波状況を改善する機器も登場している。

◆ルーターへ接続する

親機が古く、Wi-Fiルーターを買い替えた場合は、親機へ接続するための設定が必要だ。接続設定といっても、Windowsなど現在のパソコンやスマートフォンは、無線LANへの接続を前提にしているので、昔のように複雑な設定をしなくても大丈夫だ。
 
接続設定の最初のステップは、ルーターのSSIDと暗号化キーの確認だ。 SSIDは、ルーターへ接続するためのユーザー名、暗号化キーはパスワードと考えれば分かりやすい。これらはルータ一本体の底面や取扱説明書に記載がある。また、ルーターによっては表現方法が異なるので、取扱説明書などであらかじめ確認しておこう。
 
SSTDと暗号化キーを確認したら、Windowsにこれらの情報を登録する。Windows 8/8.1もWindows 7も手順はほぼ同様だ。
 
デスクトップの通知領域にあるネットワーク接続アイコンをクリックし、ルーターのSSIDを選択して、暗号化キーを設定すれば接続の作業は完了だ。
 
接続されると、ネットワークについての確認画面が表示される。これは、同じネットワーク上にある機器の検索をできるようにするか確認する画面だ。自宅なら有効でも問題ないが、それ以外の場所では無効にした方が安全だろう。

◆ルーターの設定を確認

Wi-Fiルーターの一通りの設定が終了したら、最適な設定を行ってより安全により快適に使えるようにしよう。まず設定を確認しておきたいのがSSIDと暗号化キーだ。これらは初期状態のままだと分かりづらい文字列のため、集合住宅などで周囲にアンテナが多いようならば変更してもよい。
 
2.4GHz帯を使用するSSIDは「MyRooter2.4GHz」、5GHz帯のSSIDは「MyRooter5GHz」のように、名前に周波数帯を入れておくと新しい機器をつなぐ際に分かりやすい。なお、SSIDを変更すると、子機側は再度設定が必要になるので注意しておこう。
 
暗号化キーも変更可能だが、簡単な数字の羅列などにするよりは、本体に記載された最初のものを使う方が無難だ。
 
無線LANは無線でデータをやり取りするため、データの傍受やネットワークへの侵入などのセキュリティの問題が付きまとう。これらの問題への対策として、データが暗号化されている。
 
無線LANでは、できるだけ最新の暗号化方式でやり取りするのが望ましい。現在の設定がどうなっているか、必ず確認しておこう。ただし、古い端末やゲーム機など、最新の規格に対応していない機器をつなぐには、古い暗号化方式を使う必要があるので、子機の規格は必ず確認しておこう。

 

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基本から学ぶWordの文書作成

ワードは、ビジネス文書作成の基本ソフトです。

最近ではパワーポイントがかなり普及してきましたが、ワードもまだかなり使われています。

今回は、そのWordの“使えるワザ”のご紹介です。

基本から学ぶWordの文書作成

◆読みやすく文字を配置する

それぞれの文宇を適切に配置すると、文書の全体的な構成はさらに明確になる。今回はタイトルを行の中央に、差出人を行の右端に配置しよう。箇条書きを美しく見せる字下げの基本も紹介する。

Wordには、文字列を配置する機能がいろいろ用意されている。中でも、文字列を行の中央や右端に配置する「文字揃え」、行頭を字下げする「インデント」は、文書作りに欠かせない機能。案内状でもこの2つを使って、文字列を読みやすくレイアウトしていこう(図1)。
 
「文字揃え」と「インデント」は、どちらも段落単位で設定されるスタイル。Wordでの段落とは、改行記号で区切られたひと続きの文字列を指し、1行の場合もあれば複数行の場合もある。例えば、案内状の「拝啓」は1行で1つの段落、その下の本文「時下ますます~御礼申し上げます。」は2行で1つの段落になる。

◆『段落をボタンで自在に配置』
 
「文字揃え」として用意されているのは、「左揃え」「中央揃え」「右揃え」「両端揃え」「均等割り付け」の5種類。初期設定は、段落の左右をそろえて配置する「両端揃え」だ。
 
変更は簡単にできる。対象の段落を選択し、[ホーム]タブで目的のボタンをクリックすればよい。ここではタイトルの2行(2つの段落)を選択し、「中央揃え」ボタンをクリックした(図2)。これでタイトルは行の中央に配置される(図3)。
 
なお、前述したようにこの設定は段落単位になる。そのため、1つの段落だけが対象の場合は範囲選択せず、段落内にカーソルを置いておくだけで指定できる。例えば、差出人の行(1つの段落)を右端に配置するときは、段落内にカーソルを移動して「右揃え」ボタンをクリックすればよい(図4、図5)。

◆『字下げで文章を階層化する』
 
続いて「募集要項」の見出しの下に内容を入力し、見やすくレイアウトしよう。まず、見出しの末尾で改行し、新しい行を作る(図6)。
 
Wordでは通常、[Enter]キーで改行すると、次行にも同じスタイルが引き継がれる。見出しは前回、12ポイントのゴシック体に変更したので、本来ならそのスタイルになる。ただ、ここでは新しい行が「標準」スタイル(10.5ポイントの明朝体)に戻った(図7)。前回、見出しに「見出し1」スタイルを適用しており、その中に「次行は標準スタイルにする」という設定があるためだ。
 
新しい行には、そのまま内容を書いていこう。ここでは「テーマ」から「応募方法」までの4項目を入力(図8)。項目名の後ろには、区切りの文字「:」を人力した。
 
4つの項目はインデント機能で字下げをして、見出し「募集要項」の内容であることを明確にする。インデントは、段落の左右(行頭と行末の位置)を調節する機能。いくつかの種類があるが、行頭の字下げは「左インデント」で行う。
 
左インデントは「ホーム」タプの「インデントを増やす」ボタンで設定できる。ボタンをクリックするたびに、行頭は1文字分ずつ下がっていく。ここでは5行を選択し、「インデントを増やす」ボタンを2回クリックした(図9)。これで段落の行頭が2文字分字下げされ、文章のレベルがはっきりした(図10)。なお、字下げの解除は、左隣の「インデントを減らす」ボタンでできる。
 
字下げの設定状況は、「ページレイアウト」タブの「左インデント」で確認しよう(図10)。ここで数値を設定してもよい。右の三角ボタンをクリックするたびに、行頭は0,5字ずつ上下する。

◆『「ぶら下げインデント」を活用』
 
インデントにはこのほか、「右インデント」「1行目のインデント」「ぶら下げインデント」の3種類がある。「右インデント」は、段落の行末位置を(右端)を調節する機能。「ページレイアウト」タブの「右インデント」で設定できる。「1行目のインデント」は、段落の先頭を字下げする機能だ。案内状では、本文の先頭を1文字分字下げしたが、これが「1行目のインデント」になる。
 
「ぶら下げインデント」は、2行目以降の行頭を字下げする機能。1行目が飛び出したスタイルになるので、箇条書きの文章によく使われる。募集要項の4項目も「ぶら下げインデント」で見やすくしよう。設定はルーラー上のマーカーで行う。
 
5行を選択したまま、ルーラーの「ぶら下げインデント」マーカーにカーソルを合わせる(図11)。ルーラーの左端には3つのマーカーが重なっているが、「ぶら下げインデント」は中央のマーカーだ。マウスポインターを正確に合わせたら、そのまま右にドラッグする。マーカーは、最も長い項目名より右側にドラッグしよう(図12)。この位置が2行目以降の行頭になる。

続いて、項目名F応募方法:」の後ろにカーソルを移動して[Tab]キーを押す(図13)。これでカーソルから後ろの文字列が[ぶら下げインデント]の位置に移動し、2行目の行頭ときれいにそろう(図14)。同様にほかの3項目の文字列も「ぶら下げインデント」の位置にそろえよう(図15)。項目名と文字列の間に適度な空間を作ることで、箇条書きは読みやすくなる。

◆『段落内でも改行できる』

インデントの設定は次行にも引き継がれる。「応募方法」の末尾で[Enter]キーを押して改行し、そのまま次の項目名「結果発表目を入力しよう(図16)。項目名の後ろで[Tab]キーを押すと、カーソルは「ぶら下げインデント」の位置に移動する(図17)。このようにインデントを利用すると、入力中に難なく文字位置をそろえられる。
 
段落内で改行したい場合は[Shift]+[Enter]キーを押そう(図18)。これでカーソルは次行の「ぶら下げインデント」の位置に移動する(図19)。[Enter]キーだけで改行すると新しい段落になって、カーソルが1行目の先頭位置に移動するので注意したい。「表彰」ではさらに[Shift]+ [Enter]キーで改行し、3行目を入力した(図20)。
 
なお、「ホーム」タブの「スタイルギャラリー」にある「標準」スタイルをクリックすると、段落は「標準」スタイルに戻り、インデントも解除される。

 

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人が足らない!

建設業界の人手不足は、深刻な問題です。

自治体に優秀な自社社員が転職したり、技術者不足なために入札を見送ったりといった事態が相次いでいます。

そんな現場のリアルな状況について、日経コンストラクチャー2014年2月24日号からご紹介します。

人が足りない!10年先を見据えて打つべき人材確保の布石

東日本大震災の復興事業や経済対策などで発注が増え、技術者や技術者の不足が顕在化してきた。入札不調が相次いでいる被災地だけの問題ではない。若い人が入らず高齢化が進むなか、このままでは将来、危機的な人材不足に陥るのは間違いない。長時間労働や給与の低さなど劣悪な待遇を改善し、長期的な視野で担い手確保に取り組むことが不可欠だ。

官民で人材の奪い合いに

この1~2年、建設会社などが自治体に技術者を“引き抜かれる”ケースが続出している。公共事業が増加傾向に転じたことを受け、自治体が土木職の採用を大きく増やしていることが一因だ。民間企業の技術者不足に拍車を掛けている。

「今月も1人辞めるんですよ。いきなり東京都に引き抜かれた」。ある大手建設会社の役員は嘆く。 30歳くらいの若手技術者が、中途採用で東京都へ転職するのだ。

その若手が利用したのは、都の「キャリア活用採用」という制度。29歳から59歳までの幅広い年齢を対象とするのが特徴だ。2013年度の採用試験合格者は67人。3年前の37人から2倍近くに増えた。採用数の拡大が、民間企業にとって“脅威”となっている。

「公務員の通常の採用なら、民間からの転職組は明らかに不利。しかし、キャリア活用採用だと、給与水準は当社で経験を積んだ社員とほぼ同じだ。それなら、誰だって公務員を選ぶに決まっている」。その役員は半ば諦め顔だ。

「我々が将来を託そうとしている有望な社員ほど、役所に行ってしまう」。こんなぼやきも聞かれる。

 

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◆建設業で際立つ採用意欲

これまで長らく続いた公共投資の減少に伴い、建設会社や建設コンサルタント会社の多くは人員を削減してきた。ところが11年の東日本大震災以降、公共事業は一転して増加傾向に。復興事業に加えて経済対策もあり、にわかに仕事が増えた。技術者不足が顕在化し、各社とも増員の必要に迫られている。

その一方で、公共事業を発注する、自治体側も技術者不足に悩んでいる。前述の東京都のように、中途採用に力を入れる自治体も増えてきた。その結果、官民で人材の取り合いが激化しているのだ。最近では業界団体などで各社が集まると、必ずと言っていいほど自治体への人材流出問題が話題となる。

リクルートワークス研兇所が毎年10月~11月に実施している民間企業を対象としたアンケート調査によると、建設業では新卒、中途ともに、採用を増やす企業の割合が大きく上昇している(31ページ右上のグラフ)。 14年度については、新卒、中途とも前年度より増やす企業が2割を超えた。回答企業全体の数値を大きく上回っており、建設業の高い採用意欲が見て取れる。

「中途採用で即戦力を得ようと考えても、復興需要などで採用難が続いている。中途で採れない分、新卒採用に向かっているようだ」とリクルートワークス研究所の戸田淳仁研究員はみる。

新卒の採用でも、官民の人材の取り合いは激しい。‥例えば、建設技術研究所は今年4月入社の採用で、予定していた50人を大きく下回る40人程度しか確保することができなかった。その原因の一つは、想定していた以上に内定辞退者が出てしまったことだ。辞退者はほぼ全員、公務員に流れたという。

実は既に2~3年前から、中途採用では希望する人数を確保するのが難しくなっている。「ここ1年くらい、民民、官民ともに競争が激しくなった。新卒で採用枠が埋まらなかったのは初めてのことだ」と同社の内村好副社長は話す。

◆自治体も土木職の採用に苦戦

技術者を引き抜かれた形の民間企業から嘆きの声が聞こえるものの、自治体側も人材確保で厳しい状況に置かれている。最近では、採用試験の合格者数が予定に満たないケ-スも出てきた。例えば、岡山県では今年4月の採用で土木職11人を予定していたが、合格者は9人。 30年ぶりに追加募集せざるを得なくなった。滋賀県でも、15人の予定に対して合格者は10人。2年連続の追加募集となった。

土木職の採用が年々困難になっていることから、採用試験の方式を変えて、受験者層の裾野を広げた自治体もある。横浜市では今年4月の採用で、通常の採用スケジュールよりも早く試験などを行う「先行実施枠」を、土木職だけに設けた。

その狙いは、民間志望の学生を引き寄せることだ。通常の公務員試験よりも採用活動が早い民間に後れを取らないよう、早めに試験を実施。さらに、一般教養試験を外すなどして受験者の負担を減らし、民間志望者が受けやすい環境を整えた。

昨年の4月~5月に実施した採用試験には、土木職として過去最高の464人が応募。そのうち396人が受験し、21人が合格した、競争倍率は18.9倍に上っている。横浜市では今年も、先行実施枠を設ける予定だ。

東京都も15年4月の採用で、専門記述や論文を課さない新しい方式を導入する。新方式のパンフレットには「対策不要」の文字を掲げ、受けやすさをアピールしている。

そのほか、自治体の間では中途採用を拡大する動きも広がっている。多くの自治体は採用年齢の上限を30歳程度に設定しているので、従来はこの枠内で民間企業の実務経験者を採用してきた。しかし最近では、さらに上の年齢の技術者を即戦力として採用する自治体が相次いでいる。例えば、栃木県や山口県では今年4月の採用で初めて、土木職と建築職で30歳以上を対象とした社会人採用を導入した。

 

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◆他社からのヘッドハンティングも

官民とも人材確保に頭を悩ますなか、ヘッドハンティング会社に頼るケースも出てきた。大手商社系のヘッドハンティング会社、サーチファーム・ジャパンによると、建設コンサルタント会社では数年前から、建設会社は昨年から同社を利用するケースが増えてきたという。

転職を希望する登録者の中から人材を企業とマッチングさせる一般的な人材紹介会社と異なり、ヘッドハンティング会社は様々なコネを使って企業が求める人材を探し出してアプローチする。自ら積極的に転職したいとは考えていなかった潜在的な候補者も掘り起こすことができるのが特徴だ。

サーチファーム・ジャパンの甲斐逸子エグゼクティブシニアディレクターは、「当社に依頼した会社も、最初は登録型の紹介会社を利用していたようだ。ただ、技術士などの資格を持っていて、自分から積極的に転職を考えて登録する人はあまり多くない」と説明する。

建設業界ではこれまで、同業他社からの引き抜きはタブーとされてきた。しかし最近では、[スーパー(ゼネコン)からスーパーへの転職はまだ難しいが、中堅からスーパーへといった流れは全く問題なくなっている」(甲斐エグゼクティブシニアディレクター)。

深刻になってきた技術者不足への対策として、建設技術研究所は一旦同社を辞めた人を再雇用する「リピート制度」を創設した。例えば、親の介護や出産などのために会社を辞めたが、その後、再び働ける状況になるケースは少なくない。そういった人の利用を想定している。技術と経験を持った元社員ならば、未経験者を一から教育するのと違って効率的だ。

既にこの1月から退職者の登録を始めている。必要に応じて登録者に声を掛けて、条件が合えば再雇用する予定だ。雇用形態は正社員に限らず、契約社員やアルバイト、さらに期間限定や短時間勤務など様々な選択肢を用意している。元社員と協議のうえで決定する。

 

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◆「限定社員制度」の導入を検討

さらに、同社では働く人の多様なニーズに応えられるよう、勤務地や担当職務に制限を設ける「限定社員制度」の導入もこれから検討する。

「従来と異なる給与体系が必要になるなど、全く新しい制度なので慎重に検討しないといけないが、ニーズは高い。地元に帰りたいという理由で公務員を選んでいる社員に対して、地域限定社員という選択肢を用意できれば、辞めさせずに済むはずだ」(同社の内村副社長)。

ただ、各社が技術者確保のために様々な取り組みを進めているものの、抜本的な解決策には至っていないのが実情だ。結局は、人材を引き付けるだけの魅力ある職場をつくる地道な努力を重ねるしかない。八千代エンジニヤリング総務部人事課の佐藤衛課長は「転職者が多い一番の理由は、残業が多い業界であることだと思う。ノー残業デーの実施などで長時問労働を削減しないと、問題の解決は難しい」と話す。

既存の技術者で効率的に業務をこなせるようにする努力も必要だ。八千代エンジニヤリングでは、社員を分野の違う部門に最長で2年程度の短期間だけ異動させる「ミニローテーション制度」を13年に導入した。例えば、河川の技術者が、橋梁の耐震構造の設計を手掛ける部署に異動している。「一人一人の能力の幅を広げることで、ある程度の人材不足は補えるのではないか」と同社の長沢威常務は話している。

【ヘッドハンティング/将来の管理職候補に高いニーズ】

建設コンサルタント会社からのヘッドハンティングでは、技術士の資格に加え、国土交通省に対してのプロポーザル能力を求められることが多い。発注者からの評価が高い技術者がいるかどうかでプロポーザルの勝敗が決まるので、各社とも力を入れている。

建設会社ではこれまで主に、人が採れず本当に困っている地方の会社からの依頼だった。それが昨年くらいから、都市部の大手からも依頼が来るようになった。マネジメント能力がある即戦力に加えて、将来の管理職候補となる技術者を求めている会社も多い。これまで採用を手控えていた時期に入社した層が、、これから管理職クラスに上がらなくてはいけない。その年代の社員が乏しいので、今のうちに採用して育てていこうと考えているようだ。(談)

 

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資格者不足で受注できない

監理技術者のような資格を持つ技術者の不足で、入札に参加できないケースが目立つようになってきた。総合評価落札方式では監理技術者の実績が点数化されるので、豊富な経験を持つベテランを優先的に配置しがちだ。若手への世代交代が進まない。

建設会社では、既に技術者不足で受注に支障を来すようになっている。現場への専任義務がある主任技術者や監理技術者を思うように手配できないからだ。

鹿島道路の菊池達人事業推進部長は、「技術者を配置できず、応札を手控えざるを得ない状況が続いている」と語る。以前はほかの支店から融通できたが、今はどの支店も技術者不足なので対応が難しいという。

さらに、社員のキャリア形成の問題も指摘する。「技術者を待たせる余裕はないので、出てきた案件にその場しのぎで配置するしかない。計画的にキャリアを積ませて育成していける状況ではない」(菊池部長)。

特に深刻なのが、監理技術者のような資格を持った技術者の不足だ。総合評価落札方式の入札では、監理技術者の評価点が受注を左右する。

「最近では一般的に、45歳から60歳くらいの人を優先的に監理技術者に配置せざるを得ない」。こう話すのは、全国建設業協会で総合企画専門委員会委員長を務める浅沼組土木事業本部の桑原茂雄企画部長だ。総合評価で高得点を取るためには、経験豊富な技術者に頼る必要がある。かつては30歳代のうちに監理技術者を経験することが多かったが、次第に高齢化が進んでいる。

「経験豊かな技術者。は本社や支店でマネジメントする役職に就かせたいが、どうしても入札参加のための人材として使うことを優先してしまう」(桑原部長)。

本来、現場のトップは現場代理人で、監理技術者よりも立場は上とされる。しかし、現場代理人よりキャリアの長い社員を監理技術者に配置する「逆転現象上も、いまや一般的になっている。

 

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◆配置技術者の専任要件を緩和

技術者不足対策として、国土交通省では主任技術者や監理技術者に関して、専任要件や常駐義務の緩和策を打ち出している。例えば、以前は相互の距離が5km以内の二つの現場に限って主任技術者の兼務を認めていたが、昨年9月に東日本大震災の被災地で10km以内に範囲を広げた。さらに、この2月からは適用地域を全国に拡大している。

ただ、小出しに緩和策を打ち出しているものの、国交省が抜本的な制度改正に踏み切る様子はない。「技術者不足などによる入札不調は起こっているが、再入札などで契約はできている。工事に着手できない事態には至っていない」と国交省建設業課の橋本幸治課長補佐は話す。

国交省では、工事の品質を確保するために、ある程度の要件は不可欠だとの考えだ。「一度緩めたら、元には戻せない」(橋本課長補佐)として慎重な姿勢を崩さない。

若手が現場での実績を積めない問題に対しては、若手の配置を促す入札方式を試行的に始めている。それをまとめたのが右上の表だ。これらの仕組みは、競争参加資格の技術者要件と総合評価の加点の大きく二つに分かれる。さらに、若手を監理技術者にするか現場代理人にするか、補助者を必要とするかどうかなどで様々なパターンに分かれる。

入札参加者側からは、「地方整備局によって方式があまりに違う」と困惑する声も聞かれる。補助者が必要な案件では、若手に加えてベテランも現場に張り付けなくてはならないので、技術者不足の現状では負担が大きいとの意見もある。

若手育成のために、前述の「逆転現象」を積極的に活用しようと考える建設会社もある。鹿島道路では3力所の現場で試行的に、20歳代の若手を現場代理人に配置している。「監理技術者は経験などの条件で縛られるので、どうしても配置できる時期が遅くなる。現場代理人の方が早くデビューさせられるので、そこで経験を積ませたい」と同社の菊池部長は説明する。

【入札制度/総合評価で技術者の若返りが困難に】

総合評価落札方式によって、若い人が監理技術者などとして活躍する場が少なくなってきた。1点2点を争う入札では、どうしても経験豊かな技術者を配置せざるを得ない。私が初めて監理技術者を経験したのは30代後半たった。しかし、最近では一般的に、45歳から60歳くらいの技術者を優先的に現場に配置するようになっている。技術者全体の若返りがなかなか図れない。

「逆転現象」が起きた現場では、原価管理や労務管理などにおける決定権を監理技術者が持つことになり、現場代理人が本来の仕事を担えないという問題がある。また、監理技術者などへの若手の登用が遅れると、モチベーションが高まらず、若い時期にスキルアッブが図れない。(談)

 

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技術者を本社に囲い込むな

金井誠氏 大林組副社長

―ますます技術者の高齢化が進んでいますね。

金井 技術者、技能者ともに高齢化は大きな問題です。将来のことを考えれば、代替わりを進めなくてはいけない。例えば、ベテランの監理技術者の下で、若手を現場代理人に配置するといった形が考えられます。

ただ、ベテランのなかには若手が自分より立場が上の代理人になることで、やる気を失ってしまう人もいる。例えば、一本社の技術部門などに配属し、その人が必要とされる現場が出てきたときに、所長を任せるといった対応が必要になります。

―最近、技術者を現場にうまく配属できていないという話を聞きます。

金井 総合評価落札方式の普及によって、本社で技術提案書を作成する業務に多くの技術者を配置する必要が生じています。それによって技術者が現場に出られず、「塩漬け」になってしまう恐れが出ています。

私は、技術提案書の作成業務を、ある程度経験するのは良いことだと思っています。現場を担当していると、現場のことしか目に入らず、なかなか見識が広がらない。自分で自分をある特定工種のエキスパートと限定して閉じこもってしまう。

エキスパートとプロフェッショナルは似て非なるもので、インフラ整備に関わる土木技術者は、技術に加えて歴史観に基づく哲学を備えていなければなりません。私は当社の土木技術者には土木のプロを目指してほしいと思っています。技術提案書の作成部門で幅広く勉強することで、土木技術全体を自分の頭の中で体系化することができます。

1~2年たったら、また現場に出るのが望ましいのですが、残念ながらそれがうまくいっていない。技術提案にはセンスが求められます。伝えたいことを分かりやすく伝えられる人と、そうでない人がいる。上手な人を上司が囲ってしまい、手放さないことがあるからです。

本社で抱え込んでしまって、なかなか現場に出さない。それが過ぎると、現場の土木技術者として進歩できなくなってしまいます。

―総合評価によって、人材のやりくりが不自由になっているのでは?

金井 確かに、それはあります。総合評価では、監理技術者に点力寸付くので、高得点を取れる技術者がいれば、当然、その案件を担当させることになる。監理技術者によって、受注が左右されるケースが顕著になっています。

技術提案には多くの労力を必要とします。2~3年前は、あれもこれも入札に参加していました。しかし結局、落札できるのは15~20%くらいです。落札できなかったときに、それに関わった人の落胆や精神的な疲れを考えると、むやみに参加しない方がいいと考えています。

 

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使いこなせない標準見積書

現場を支える技能者の不足も大きな問題だ。入職者を確保しようと業界団体などが法定福利費を必要経費として明示した標準見積書の活用を申し合わせた。しかし、「どんぶり勘定」に慣れた建設業界では活用が進んでいない。

社会保険の未加入問題を受けて国土交通省などの発注機関と建設業界団体が、2013年9月26日から法定福利費を明示した標準見積書を一斉に活用することを申し合わせた。

標準見積書は、各専門工事業団体がそれぞれの様式を作成している。専門工事会社が工賃とは別に社会保険料の事業者負担分などの必要経費を明記して元請け会社に提出する。技能者の賃金水準を改善し、入職者を確保することが目的だ。

そもそも建設業界では重層下請け構造のもとで、専門工事会社が元請け会社から請け負う金額を低く押し下げられてきた。そのしわ寄せは現場で働く技能者に及び、賃金水準がほかの産業よりも低くなっている。

法令で義務付けられた社会保険に加入せずに現場で働く技能者も増えた。標準見積書の有無に関わらず、本来は技能者を雇用する企業が社会保険料を負担しなければならない。ところが、保険料を賄える請負額を得られない専門工事会社は、技能者を加入させられない。

標準見積書を使えば、専門工事会社が技能者の法定福利費分を客観的に説明して、元請け会社に請求しやすくなると期待されている。ところが、活用が進んでいるとは言い難い。国交省が13年12月に示したアンケート調査の結果では、回答した下請け企業の26%しか標準見積書を作成していなかった。

◆トン単価からの変更に戸惑い

活用が進まない一因は、「どんぶり勘定」と言われる、これまでの建設業界の見積もり方法にある。

専門工事業団体の一つ、全国鉄筋工事業協会(全鉄筋)の花山良男事務局長は、「恥ずかしい話だが、これまではトン当たりの単価で契約してきたので、細かい歩掛かりや経費を記載する標準見積書になっても、各企業の理解が進まない」と話す。

全鉄筋の標準見積書で法定福利費を明示する手順は次のようなものだ。まず鉄筋の組み立てや加工、運搬といった項目ごとに人件費を計上。各人件費を足し合わせたうえで、社会保険料の事業者負担分の料率を掛けて保険料を算出する。

「標準見積書は、考え方さえ分かればそれほど手間が掛からない。特に鉄筋は、他工種と比べて細かくないので難しくない」と花山事務局長は説明する。

必要な経費を積み上げていく見積もりは、一般的に見るとそれほど特異ではない。しかし、これまでは鉄筋1t当たりの単価をベースに、施工する鉄筋量を掛け合わせて算出。諸経費などを全て含めた金額として、元請け会社に提出していた。

こうした従来の見積もりとは違う標準見積書の考え方に、鉄筋工事会社は戸惑っている。全鉄筋では全国で研修会を開催し、標準見積書の理解を深めていく方針だ。

 

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◆これまで「基本料金に含む」と説明

同様の指摘は、ほかの専門工事業団体からも聞かれる。

全国コンクリート圧送事業団体連合会(全圧連)の北口延郎専務理事は、「労務費額に保険料率を掛けて明示するというやり方は取り組みづらい。社会保険料は工事費の何%にするといったように、もっと簡単な方法ならば浸透しやすい」と話す。

コンクリート圧送工事の料金は、現場ごとの「基本料金」に、1㎥当たりで算出する「圧送料」を足し合わせて計上する。官民の工事とも、この料金体系が全国で定着している。

標準見積書では、基本料金の中から労務費を抜き出して社会保険の事業者負担分を計算し、工賃とは別に明記する。従来のやり方に慣れた会社にとっては、労務費を抜き出して保険料を計算する手順が難しい。

さらに、これまで圧送会社が元請け会社に見積もりを提出する場合、基本料金に法定福利費を含んでいると説明していた。そのため、工賃と別枠で請求する標準見積書に違和感を覚える会社も多い。

企業が負担する法定福利費は、労務費に対して全国平均で15%程度だ。労務費に比例して多くなるので、労務費の割合が請負額に対して高い工種ほど、法定福利費相当分の獲得が死活問題になる。

圧送工事の場合、労務費は請負額の半分程度で、法定福利費はポンプ車の機誡損料と比べて、それほど大きくない。北口専務は、「法定福利費を死守したいという専門工事団体も多く、足並みをそろえた」と話す。

◆発注者の理解が進まない

同じ工種内でも、足並みをそろえることが重要だ。型枠大工工事の団体である日本建設大工工事業協会(日建大協)は、これまでに標準見積書の説明会を全国で23回開催した。参加した延べ1000社以上には非会員企業も含む。三野輪賢二会長は、「標準見積書と社会保険料を負担していない企業の見積もりとを比べると不公平になる」と説明する。

社会保険料の事業者負担がまだ徹底されていない現段階では、標準見積書の方が社会保険料分だけ価格競争力で劣る。業界一丸となって社会保険料を請求する姿勢を示さなければ、標準見積書は定着しない。

見積もりを受け取る元請け会社が社会保険料の必要性に理解を示しても、現時点では専門工事会社に払う額を確保できない実情もある。民間工事だけでなく公共工事でも、発注者の積算額には社会保険料が賄えないほど低い場合が多いからだ。

三野輪会長は、「国交省の直轄工事では標準見積書を活用するケ-スが出ているが、他省庁や自治体ではまだ社会保険料が付加されていない」と指摘する。

法定福利費を反映した13年度の新たな設計労務単価について、国交省力呀目談窓口を設けたところ、発注者に対する相談が労務単価そのものに次いで多かった。発注者の理解が進んでいないことの表れだ。

 

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「人手不足で受注できない」は心外

才賀清二郎氏 建設産業専門団体連合会会長

―技能者の不足が叫ばれています。

入札不調・不落の原因は、技能者が足りないからだと言われますが、そうではありません。見積もりが適正価格、適正工期ではないことが原因です。技能者がいないから仕事を取れないと言われるのは心外です。

ゼネコンのダンピング受注が横行した結果、そのしわ寄せが専門工事会社に及んできました。企業として成り立たないところまで追い詰められています。技能者を社会保険に加入させられず、宿舎を用意できない状況です。

こうした労働環境では、自信を、持って若い人たちを募集できません。たとえ高校生が入職を希望しても、その親が入職に反対します。労務単価をさらに引き上げてもらい、企業として成り立つように、労働環境を整える必要があります。

現在の仕事量は、1964年の東京五輪のころと同じくらいです。ところが、技能者の賃金水準は現在の価値に換算して倍くらい違いました。当時はゼネコンの技術者よりも、技能者の給料の方が良いくらいでした。だからプライドもありました。

高校生にとって今、建設業界は汚い、きつい、給料が安いと認識されています。最低でも給料を上げて、土日に休める環境が必要です。そうすれば、入職を希望する高校生も少なくないはずです。

―ダンピング対策の一環である標準見積書の活用状況はどうですか。

ゼネコンでは、現場まできちんと説明されていない印象です。日建連や全建の傘下にあるゼネコンならば、もちろん経営層や幹部は理解しています。ところが、特に民間工事で、現場の技術者には「標準見積書など知らない」と言われます。

一方で、専門工事会社も各団体で用意した標準見積書をゼネコンに十分に説明できない。これまで、トン単価や平米単価で請け負ってきたので、細かな項目を計上するやり方に慣れていないからです。

自らが作った標準見積書を勉強しなければなりません。ゼネコンに対して、なぜ標準見積書を持ってきたのかというところから、見積もりの根拠を説明する。そのうえで、その見積もりでなければ請け負わないという態度を示すことが大切です。

標準見積書を機能させるには、全ての専門工事会社が協力して、足並みをそろえる必要があります。社会保険に加入せずにダンピング受注する専門工事会社が現れたら、意味がありません。ゼネコンが安値受注しても、その金額では受け手がいないと認識してもらうことが必要です。

せっかく作った標準見積書が定着しなければ、仕事が減ってきたときに、また法定福利費を要求するための議論をしなければならない。根拠をきちんと示した適正価格でなければ受けない、ノーと言える専門工事会社になるべきです。

 

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技能研修で高校生の入職促す

技能者不足は若年層で特に深刻だ。技能者の高齢化が進み、型枠大工では55歳以上が3分の1を占める。工業高校の生徒に建設業の魅力を伝えるため、技能研修を体験させる取り組みが広がっている。予算規模が1020億円に上る厚生労働省の人材育成事業にも注目が集まる。

建設業の技能者不足に対して、政府が外国人労働者を活用する策を検討し始めた。東日本大震災の復興需要に加えて東京五輪の施設整備が重なり、技能者不足がさらに加速すると危機感を募らせたからだ。

外国人技能実習制度を見直すことで、建設業への外国人の受け入れを拡大する方針だ。1月24日に官房長官や国土交通大臣、厚生労働大臣など7閣僚で構成する「建設分野における外国人材の活用にかかわる閣僚会議」を開催。3月末までに対策をまとめる予定だ。

同制度は、3年以内の期限で主に途上国の労働者を受け入れて教育する制度だ。国際貢献が趣旨なので、本来は国内の技能者不足への対策ではない。建設業界からも「趣旨と違う」との反対意見がある。

建設産業専門団体連合会の道用光春常務理事は、「技能実習で来日する外国人労働者は数年で帰国するので、人を育てる発想ではない。国内の未就業者に目を向けずに国外に目を向けると、若い人が建設産業に入る芽を摘むことになる」と指摘する。

技能者不足は若年層で特に深刻だ。外国人労働者を活用するだけでは、根本的な解決にはならない。未就業者が建設業に振り向くような施策こそが大切だ。

◆型枠大工の3分の1が55歳以上

これまでの公共事業削減で、技能者は激減した。特に技能者不足を叫ばれているのが、型枠大工だ。

「2008年のリーマン・ショックによって型粋工事の単価が暴落し、かなりの数の型枠大工が離職した」と日本建設大工工事業協会の三野輪賢二会長は説明する。同協会の調査では、08年を挟んだ3年間で型枠大工の稼働率が18ポイント低下した。

高齢化も進む。同協会の13年度の調査では、55歳以上が全体の35%を占めた。65歳で現場を離れると仮定すれば、10年後には3分の1がいなくなる。一方で24歳以下の若年者は6%にすぎない。 12年度の7%からさらに減少した。

若年層が減り、技能者の高齢化が進むのは、型枠大工に限らない。

全国高等学校建築教育連絡協議会の調査では、技能者の送り手として期待される工業高校の建築系学科でも、就職する生徒の4割以上が建設業以外を選んでいる。進学者を含めると、卒業生のうち建設業に進むのは3分の1にすぎない。

ここ十数年、建設業界に若年者が入らなくなった。厚生労働省の雇用動向調査によると、建設業への30歳未満の入職者数は2000年に24万8000人だったのが、10年には7万4000人となった。 10年間で7割以上も減少した。

若年者の離職率も高い。同じ期間に、建設業の常用労働者に占める離職者数の割合は、30歳未満で18.6%だった。 30歳未満の全産業での平均が14.9%だったことからも、他産業と比べてなかなか定着しない実態がうかがえる。

◆年間300人の高校生が孩能体験

こうした状況に、建設業界も手をこまねいているわけではない。

若年層に建設業の魅力を伝える取り組みが進んでいる。静岡県富士宮市にある富士教育訓練センターは、各県の建設業協会や工業高校と協力して、生徒に技能体験研修を実施している。入職後のミスマッチ解消にもつながる。

研修事業は、各県の協会が厚労省の助成制度を使って、工業高校の生徒を富士教育訓練センターに派遣する試みだ。夏休みを利用した3泊4日~4泊5日のスケジュールで、鉄筋や型枠、測量などの実習を体験させる。

02年度から始めた研修事業は、徐々に拡大している。当初実施していたのは愛知県建設業協会だけだったが、12年度には8協会に増えた。参加人数も年々増えて12年度には300人近くが受講。 12年度までに計1403人の高校生が参加した。

富士教育訓練センターの小松原学校長は、「以前は、各県の協会が助成制度を安全教育などほかの事業に使うことが多かったが、最近は技能体験研修の実施力1増えてきた」と手応えを感じている。

◆保護者の見学会で入職を後押し

高校生の入職には、本人の希望だけでなく、学校の教師や保護者の意向も強く影響する。富士教育訓練センターを活用する愛知県建設業協会は、09年度から高校生の研修の際に保護者の見学会を実施している。

見学会後に保護者に実施したアンケートでは、子どもの建設業界への入職に前向きな意見が増えてきた。「就職させたい」との回答が10年度には回答者の約7割で、11年度と12年度には約8割に上った。

富士教育訓練センターでは教師の技能体験研修も実施している。型枠や鉄筋を組む手順などの技能に教師が不安を抱えていると、生徒に建設業の魅力がきちんと伝わらない。受講者数は年度によってばらつきがあるが、02年度から12年度までの累計で283人となった。

国交省も人材育成の重要性を認識している。「担い手確保・育成検討会」のワーキングチームの一つとして、「富士教育訓練センターの充実強化の具体化に向けた検討委員会」を設置。 14年度中に老朽化した施設の建て替え工事に着手する予定だ。

◆人材育成に1020億円の補正予算

建設業の人材育成への取り組みには追い風が吹いている。厚労省が13年度補正予算に計上した「地域人づくり事業」を、各県の建設業協会などが高校生の技能研修にも活用しようと検討しているからだ。

同事業は、女性や若者、高齢者の雇用拡大や処遇改善を促進するために創設したものだ。都道府県が設置する基金に対して厚労省が交付金を配分。都道府県や市町村は、その基金を使って、未就業者の就職や社員の賃金上昇につながる支援策を企業や業界団体などに委託する。正社員化を見据えた高校生の教育・訓練も事業の対象だ。

建設業だけが対象ではないが、厚労省と国交省は主に建設会社による活用を想定している。全国建設業協会や日本建設業連合会、建設産業専門団体連合会などに対して事業の活用を呼びかけており、各団体とも前向きに検討する姿勢だ。

事業の予算規模は1020億円と大きい。都道府県が企業などに委託する形式なので、支援策の費用が全て基金で賄われる。

委託を受ける共同体に富士教育訓練センターが加わることも可能だ。補正予算が成立する前の2月上旬時点で、「既に各県の建設業協会から相談を受けている」(富士教育訓練センターの小松原校長)。

技能者不足は一朝一夕では解決しない。将来の担い手を確保するためには、若年者に建設業本来の姿を伝える地道な取り組みが必要だ。

 

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アップルとASUSの製品が上位に

日常シーンで、iPadに代表されるタブレットを見る機会が随分増えてきたような気がします。

それだけ、タブレットという商品が支持されているのでしょう。

そんなIT商品の売れ行き事情について、日経パソコン2014年2月10号から紹介したいと思います。

アップルとASUSの製品が上位を占める

数あるIT関連機器の中でも、年末年始商戦で売れ行きが特に好調だった製品といえばタブレットだ。アップル「iPad」やグーグル「Nexus 7」などの人気モデルのほか、Windows搭載のタブレットも複数登場し、店頭を盛り上げた。
 
ランキング上位は、アップルやASUSJAPANの製品が占めた。グーグルブランドのNexus 7も、製造はASUSが手掛けている。1位はNexus 7の2012年モデル。実勢価格で約1万7000円という値ごろ感で人気となった。2位のiPad miniも2012年に発売となった製品。こうした旧モデルは価格が安いため、「20代の若者など、タブレットを初めて購入する人が選ぶケースが多い」(ビックロビックカメラ新宿東口店B2階タブレットコーナーの中山翔太氏)という。
 
同じく低価格の製品ではASUSJAPAN 「MeMO Pad」が9位と10位に入った。青、白、ピンク、黄緑と4種類の色を用意しており、店頭では女性が購入するケースも多いようだ。
 
ディスプレイが10型前後の製品では従来モデルよりも薄型となったアップル「iPad Air」が人気で、3位と6位に入った。5位にはWindows搭載のASUSJAPAN 「TransBook T100TA」。キーボードが着脱式で、タブレットとしてもパソコンとしても使える。Office 2013が付属しながら実勢価格は約5万8000円。パソコンとして考えると安いという値ごろ感で売れている。
 
Windowsタブレットでは日本マイクロソフトのSurface Pro2も好調。年末に一部モデルで品薄状態が続くほどだった。ただ、マイクロソフトが販売数を公表しない方針を取っているため、販売ランキングには入っていない。
 
3G(第三世代携帯電話)やLTEの通信機能を搭載するSIMロックフリー製品では8位にNexus 7が入った。いつでもどこでも快適にネット接続をしたいという上級者が選んでいる。

 

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LTE-Advanced

スマホの通信速度が、大幅に飛躍する―その期待を担っているのが、LTE-Advancedです。

NTTドコモは2015年度内にサービスを開始する予定とのこと。

ますます快適になる通信回線。そんなレポートを、日経パソコン2014年4月14日号よりご紹介します。

LTE-Advanced

LTEの拡張版となる次世代のモバイル通信方式。理論上の最大速度は3Gbps。
離れた帯域の周波数を組み合わせて通信できる機能により、通信事業者が必要な周波数幅を用意しやすくなる。

スマートフォンで主に使われているモバイル通信方式「LTE (long termevolution)の最大通信速度は、現状で75M~150Mbps。この通信をさらに高速化できる次世代の通信方式「LTE-Advanced」がまもなく登場する(図1)。
 
LTE-Advancedの理論上の最大通信速度は3Gbpsになる。通信に使う電波の周波数幅を最大100MHzに拡大。また、複数のアンテナでデータを多重送信する高速化技術MIMOにより、アンテナを最大8本に増やして高速化を可能とする。
 
ただし、実際には小型のモバイル機器に多数のアンテナを実装することは難しい。現状のLTEでも、MIMOのアンテナ本数は最大4本だが、実装は2本となっている。そのため、実際のサービス上の通信速度は、理論上の最大300Mbpsよりも低い。LTE-Advancedの時代でも、スマートフォンなどが搭載するアンテナは2本のままとなりそうだ。

◆ドコモは2015年度に開始
 
そうなると当面、LTE-Advancedでは周波数輻の拡大による高速化がメインとなる。ただ。電波帯域は有限で、通信事業者は電波に閔する法律で割り振られたー部の帯域を使うことでサービスを提供している。現状のLTEは5M~20MHz幅の帯域を使用しており、それ以上のまとまった輻を用意することは難しい。
 
そこでLTE-Advancedでは、連続していない帯域の周波数で同時に通信できるようにするキャリアアグリゲーションという技術を使えるようにした(図2)。
この方法なら、既存の帯域や新たに割り当てられた帯域を組み合わせて高速化できる。

なお、総務省はLTE-Advanced向けとして3.4G~3.6GHz帯を新たに通信事業者に割り振る方針を示している。
 
NTTドコモは2015年度内(2016年3月まで)に187.5MbpsのLTE-Advajlcedサービスを開始する予定としている。ソフトバンクモバイルやKDDIもLTE-Advancedの通信実験を進めており、さらなる高速化を目指している(図3)。
 
このほかLTE-Advancedでは大きな基地局と小さな基地局を効率的に協調動作させて、通信網全体の通信速度を高める「HetNet」という技術も加わる(図4)。大きな基地局と小さな基地局の干渉を防ぐ機能など、途切れにくく、ユーザーが快適に通信できるための仕組みを取り入れている。

 

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品川周辺、5000億円再開発

国内の建設業界にとって、大型の開発案件は注目のニュースです。

都内においては、品川周辺の再開発の規模が5000億円という大規模なもので注目を浴びています。

以前日本経済新聞に掲載されたニュースを、以下ご紹介します。

品川周辺、5000億円再開発

JR東日本など超高層ビル8棟

東日本旅客鉄道(JR東日本)や東京都などは、品川駅周辺を再開発する。JR東日本は、山手線の品川-田町間で開業予定の新駅隣接地に超高層ビル8棟を建設する計画。品川駅は羽田空港と近く、2027年開業予定のリニア中央新幹線の始発駅にもなる。総事業費5000億円以上をかけて、官民一体で「新たな東京の顔」となる国際的なビジネス拠点に育てる。

再開発される地区で働く人の数は、六本木ヒルズの3倍以上の10万人規模になる見通しだ。
 
JR東日本は品川駅から北に1㎞弱の場所に山手線新駅を設け、周辺の約13㌶の土地に高層ビル8棟を建てる。高さは160㍍前後で3棟がマンション、5棟がオフィスや商業施設の入る複合ビルになる。JR東日本は「20年の新駅開業を目指す」 (冨田哲郎社長)が、再開発が完成するのは20年以降の見通しだ。
 
品川駅は27年の開業を予定するリニア中央新幹線のターミナル駅。駅と再開発でできる駅北のオフィス・住居街、駅東側のオフィス街を移動しやすくするため、一帯を2階部分で結ぶ自由通路を設ける。そのため今は2階にある京浜急行電鉄の線路と駅を1階に移す。

品川と羽田空港の間を行き来する人も増えるとみて、都営地下鉄の泉岳寺駅も拡張する。
 
都は品川・田町駅周辺のまちづくりのガイドラインを近く改める。品川駅周辺は国の特区に指定されており、ビルの容積率を緩和するなどして、海外から企業が進出しやすい環境を整え国際的なビジネス拠点にする。
 
都内では、6月に開業した虎ノ門ヒルズ(東京・港)や丸の内・大手町地区など、海外からの人や企業の誘致を見越した再開発が相次いでいる。

 

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Wordの困ったを解決!

OPCでは、様々なオフィスワークのお仕事を提供しています。

そこでは、ワード、エクセル、パワーポイント、アクセス等のスキルが必要になってきます。

この豆知識コーナーでは、そういったスキルアップに役立つ情報を積極的に発信していく予定です。

今回は、ワードに関してです。

Wordの困ったを解決!

Wordの文言作成では、さまざまなトラブルに遭遇することがある。レイアウトが崩れたり、画像が消えたり、ファイルが開かなかったり。この特集では、典型的な「困った!」事例とその対処方法を紹介しよう。

Wordで文書作りをしていると、表のレイアウトが大きく崩れることがある(図1)。列の幅を1列ずつ調整し直すのかと思うと、作業を投げ出したくもなるだろう。
 
しかし、Wordでこのようなトラブルは日常茶飯事。せっかく配置した写真が何かの拍子に動く、あるいは消えてしまうというのもよくある現象だ(図2)。
 
行間の調整の難しさも悩みの種(図3)。標準の文字サイズ(10.5ポイント)で適切だった行間が、文字サイズを大きくした途端に広がりすぎたり、逆に文字サイズを小さくしても狭まらなかったりする。

◆解決方法は必ずある

もちろん、Wordにはこういったトラブルを解決するための方法が、ちゃんと用意されている。例えば、図1のように乱れた表のレイアウトは、列輻を自動調整する機能を使うことで、難なく修正できる。同じように、画像を配置場所に固定する機能や、行間を適切に整える機能もある。
 
トラブル解決で大切なのは、「なぜそうなるのか」という原因を理解した上で、「どうすればよいのか」という対処方法を選ぶことだ。正しい解決方法を知り、文書作りを快適に進めよう。

Wordの文字表示では、句読点の「。」や「、」が行頭に来たり、各種の左かっこが行末に置き去りにされることがない。これは行頭に表示しない文字を「行頭禁則文字」、行末に表示しない文字を「行末禁則文字」に指定して、自動調整しているからだ。ただし、「つ」や「エ」などの小さい文字は、初期設定で禁則文字に指定されておらず、行頭に表示されることがある(図1)。
 
一般に、小さい文字は行頭に表示しない方が読みやすい(図2)。「ファイル」タプから「Wordのオプション」を開き、「禁則文字の設定」を。「高レベル」に指定すれば、行頭禁則文字に小さい文字を追加できる(図3)。
 
文字の入力中に困るのは、自動設定される書式。特にハイパーリンクは、URLなどが下線付きの青文字に変わり、そのままで印刷される。不要なら、直後に「Backspace」キーで解除しよう(図4)。
 
いちいち解除するのが面倒なら、「Wordのオプション」で設定をオフにする(図5)。このダイアログボックスでは、ほかの自動設定もオフにできる、例えば「●」のような行頭の記号を箇条書きの段落記号に変えたくないときは「箇条書き(行頭文字)」をオフにする。
 
縦書き時に、半角文字が横向きになってしまうのも好ましくない。全角文字に直す手もあるが、日付など2桁までの数字は「縦中横」機能で並べるのがお勧めだ(図6、図7)。
 
全角文字に直す場合は、該当する文字列にカーソルを置いた状態で、「ホーム」タブの「文字種の変換」から「全角」を選ぶ。

フォント(書体)は、文字列のイメージを左右する大切な要素。「ホーム」タブの「フォント」で手軽に変更できるが、半角英数字のバランスが悪くなることがある(図1)。これは、半角英数字にも「日本語用のフォント」が使われたせいだ。
 
フォントには、全ての文字に設定できる「日本語用のフォント」と半角の英数字と記号だけに設定される「英数字用のフォント」がある。標準では前者に「MS明朝」、後者に「Century」が使われている。
 
フォントを変更するときは、日本語用と英数字翔の両方を指定しよう。もちろん、相性の良いフォントを組み合わせることが大事だ(図2)。

実際の設定では、日本語用→英数字用の順番にフォントを選ぶ。「森と緑のセミナーVol.28」という文字列なら、全体を選択して、最初に日本語用のフォント「HG明朝E」を選択。全体が「HG明朝E」に変わるので、そのまま続けて、相性の良い英数字用のフォント「Times New Roman」を選べばよい。これで半角文字の「Vol.28」だけが「TimesNew Roman」になる。
 
いったん設定したフォントは、できるだけ使い回したい。文字列は通常、コピー元の文字スタイルで貼り付けられてしまうが、コピー先のフォントや文字サイズを反映させることもできる(図3、図4)。これで操作の手間を省こう。

◆行間の制限を外せば解決

送りの整数倍で増減する」という制限がかかっているせいだ。例えば「行送り」が18ポイントの場合、行間は18ポイント→36ポイント→54ポイントと変化する。14ポイントの文字列には20ポイント程度の行間が適当なのに、制限のせいで36ポイントに広がってしまうのだ。逆に文字サイズをどれほど小さくしても、行間は18ポイント以下にはなってくれない。
 
行間を本来の1行(文字サイズ+若干の空き)にしたいときは、制限を解除しよう。段落内にカーソルを置き、「ホーム」タブの「段落」ボタンをクリック(図5)。ダイアログボックスで「1ページの行数を指定時に文字を行グリッド線に合わせる」をオフにすればよい(図6)。これで行間は、文字サイズに応じた間隔になる(図7)。なお、文書全体の制限を外しておくこともできる(図8)。

◆専用の操作箇条書きを変更

箇条書きのスタイルを利用するときは、やや特殊な操作が必要だ。例えば、離れた段落に続きの番号を振る場合は、「オートコレクトオプション」で「自動的に番号を振る」を選択する(図9、図10)。
 
箇条書きスタイルは2行目以降を字下げしているため。、「Enter」キーで改行すると次行が1行目の位置に飛び出してしまう(図11、図12)。段落内での改行は[Shift]+[Enter]キーで実行しよう(図13)。
 
1行目と2行目以降の位置も、ルーラー上のインデントマーカーなどを使わず、専用のダイアログボックスで変更しよう(図14~図16)。

データを整理し、見やすく提示するのが表の役割。データはセル内にバランス良く配置したい。そのためには、行の高さや列幅を調整する必要があるが、罫線をドラッグして1ヵ所ずつ変えるのは面倒だ。図1のように、複数の列幅が乱れている場合は、自動調整機能を利用しよう。
 
表内にデータを入力した後、表ツール「レイアウト」タブの「自動調整」から[文字列の幅に合わせる]を選べばよい(図2)。これで列幅は、セル内のデータに合わせて自動的に変化する(図3)。表の幅を文書の行幅に合わせたいときは、続けて「自動調整」から「ウィンドウサイズに合わせる」を選ぼう(図3)。表が文書の行幅に広がって、各セルの列幅に余裕ができる(図4)。
 
列幅は、動かないように固定することも可能だ。セル内にサイズの大きい画像を挿入したら列幅が広がった、というのはよくあるトラブル(図5)。これを避けるには、画像の挿入前に「自動調整」から「列の幅を固定する」を選んでおく(図6)。これで画像のサイズの方が列幅に合わせて変更される。なお、固定した列幅は、罫線のドラッグなどで任意に変更することはできる。
 
一覧表などで列幅を均等にそろえたいときは、範囲を選択して「幅を揃える」ボタンをクリックしよう(図7、図8)。行の高さは「高さを揃える」ボタンで均等にできる。

◆9つの配置方法を使い分ける
 
セル内では、データの位置を水平と垂直の2方向で指定する。セルを大きめに設定すると中のデータが左上に片寄ってしまうことがあるが(図9)、これは配置が「両端揃え(上)」になっているため。
 
表ツール「レイアウト」タブの「配置」には、9通りの配置ボタンが用意されている。ボタン名の前半が水平方向、後半のかっこ内が垂直方向を示しているので、状況に応じて適切な配置を選ぼう。図9では「両端揃え(中央)」を選んだ。これで垂直方向の配置が「上」から「中央」に変更され、データはバランス良く表示される(図10)。
 
なお、水平方向にはもう一つ「均等割り付け」という配置がある。文字列を等間隔でセル幅いっぱいに配置する方法で、文字数の異なる見出しを同じ幅にそろえる場合などに便利だ。設定は「ホーム」タブの「均等割り付け」ボタンで行う。

◆メニューで罫線を簡単に変更

セルの色や罫線のスタイル設定も、表作成には欠かせない作業。「罫線を引く」モードに切り替えると、罫線をなぞるようにドラッグして線種を変更できる(図11)。ただ、変更が広範囲だと面倒。また、ドラッグ操作がうまくいかない場合もある。
 
そこでお勧めなのが、罫線の変更位置をメニューで指定する方法だ。まず罫線を変更する範囲として2~5列目を選択する(図12左)。続いて表ツール「デザイン」タブで線のスタイル(線種、太さ、色)を指定。最後に[罫線]のメニューから、変更位置を選択する(図12右)。この例では、2~5列目の境を区切る縦罫線(3本)を点線に変えるため、「縦罫線(内側)」を選んだ。

写真や地図といった画像の扱いで、もっと多いのは配置に関するトラブル。Wordの初期設定では、画像はカーソル位置の「行内」に挿入される。大きな文字のような形になっているため、ドラッグしても別の行内にしか動かせない。
 
画像をページ内の好きな場所に配置するには、図ツール「書式」タブの[文字列の折り返し]を「行内」から「四角」「前面」などに変更する(図1)。周囲に文字列を配置するときは「四角」を選ぼう(図2)。

◆画像を配置場所に固定する

行内から出た画像は、特定の段落につながれ、その段落と一緒に移動するようになる。これが、画像が動いてしまう原因だ。連結先の段落は「アンカー」と呼ばれるいかり形のマークで確認できる(表示されないときは「ホーム」タブの「編集記号の表示/非表示」をオンにする)。
 
図3の例では、写真が本文の2段落目に連結しているので、上に本文を追加した途端、2段落目の本文と一緒に下にずれてしまった。
 
画像を配置場所から動かしたくない場合は、ダイアログボックスで「文字列と一緒に移動する」をオフにしよう(図4)。なお、特定の段落と共に動かしたいときは「アンカーを段落に固定する」をオンにする(図5)。いずれの設定をしても、連結先の段落を削除すると画像も消えるので注意しよう。
 
複数の画像やテキストボックスなどを組み合わせるときは、「グループ化」でまとめるのがお勧め(図6左)。配置も楽になる(図6右)。

ページ番号など、各ページに共通して印刷する項目は、通常ヘッダーやフッターに入力する。本文とは適度な問隔を保つのが理想だが、ヘッダーやフッターの領域が本文に食い込むことがある(図1)。これはヘッダーやフッターが、余白に収まらなかったせいだ。余白を広げる手もあるが、まずはヘッダーやフッターの位置を調節してみよう。
 
位置は、用紙の端からの距離で指定できる。図2では「17.5mm」から「5mm」に変更したところ、フッターが下がって余白内に収まった。
 
このような表示のズレは、ページ全体のレイアウトを台無しにする。段組みの文書でも、左右の行位置に気を付けよう。例えば、段落前に「0.5行」のような半端な空きを作ると、左右の行位置がずれてしまう(図3)。「1行」に変更したり、あるいは前に「0.8行」、後に[0.2行]のようにしたりして、合計で1行になるような調整をしよう(図4)。
 
はがきの作成では、横書きか縦書きか迷うことがある。文字方向は「文字列の方向」で簡単に切り替えられるが、このとき用紙の方向も変わる場合がある。「印刷の向き」で適宜修正しよう(図5)。
 
なお、はがきの内容を用紙の端まで印刷するため余白を「0mm」にすると、警告のメッセージが表示される(図6)。そのまま[無視]しても構わないが、「修正」を選ぶと、使用プリンターの最小余白を自動設定できる(図7)。余白を0mmにしても、通常の印刷ではこの最小余白が設定される。端まで印刷するには「ふちなし印刷」の指定が必要だ。

修正を保存せずに文書ファイルを閉じてしまったという失敗はよくある。 Wordには、このうっかりをリカバーする機能がある。「ファイル」タブの「情報」を開き、「バージョン」に表示された未保存の文書をクリックすればよい(図1)。一度もファイルに保存していない文書は、ダイアログボックスで探す(図2)。
 
いずれの場合も、Wordが自動保存しなかったファイルは回復できないので注意しよう。何分間隔で自動保存するかは、「Wordのオプション」ダイアログボックス。の「保存」カテゴリーで確認できる。
 
Word 2007以降の文書ファイルは、そのままWord 2003で開くことができない。 Word 2010の文書を取引先に送ったが、相手方のWordが2003で開けなかった、というトラブルも想定される。Word 2003以前で開く可能性があるなら、従来のdoc形式で保存しよう(図3)。
 
保存の実行前には、旧バージョンと互換性のない機能が報告される。確認して「続行」ボタンをクリックしよう(図4)。互換性のない機能でも、できる限りレイアウトを維持して保存してくれる。

なお、旧バージョンの文書を開くと、一部の機能が制限される。[ファイル]タブの「変換」で、現バージョンの文書ファイルにしよう(図5)。
 
ファイルの送信時には、安全性にも留意したい。公開したくない情報は「ドキュメント検査」で削除するのがお勧め(図6、図7)。一部の情報は削除すると元に戻せないので、配布用の文書とは別に、オリジナルを保管しておいた方が無難だ。印刷結果の品質は、プリンターの機種や設定、用紙の種類など、いろいろな要素に左右される。画面のイメージ通りに印刷するには、テスト印刷を重ねる必要がある。
 
トラブルで多いのが、周囲が切れる現象(図1)。これは、プリンターが自動的に最小余白を設けるためだ。印刷したい内容を、余白の内側に収めれば解決する(図2)。
 
画面表示通り、用紙の端まで印刷したい場合は、プリンターのプロパティで「ふちなし」の印刷設定をしよう。設定画面はプリンターによって異なる。図3は、キャノン製プリンター「PIXUS MP640」の設定画面だ。「プロパティ」ダイアログボックスの「ページ設定」タブを開き、「ページレイアウト」から「フチなし全面」を選択した。

◆両面印刷は「見開き」設定で

ページ数が多い文書は、印刷をしてとじるのが一般的。このとき、とじる側の余白を広くするとバランスが良くなる。ただ、両面印刷の場合は、表と裏のページでとじる側の余白が逆になる。そのため、通常の設定では位置が合わない。両面印刷に対応した余白設定をしよう。
 
まず「ページ設定」ダイアログボックスの「余白」タブで、「印刷の形式」に「見開きページ」を選ぶ(図4)。続いて「とじしろ」の幅を指定する。とじしろは、ページをとじるときに貼り合わせる部分。見開きの場合は、奇数ページの左側、偶数ページの右側に設定される。ページを両面に印刷すると、裏表のとじしろが同じ位置になる(図5)。

 

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二大地震を見据えて出た整備方針

2014年4月に国土交通省が示した地震のための整備対策。

今後のインフラ整備の進路を示すレポートを、以下ご紹介します。

二大地震を見据えて出た整備方針

2014年4月、国土交通省は首都直下地震と南海トラフ巨大地震に備えたインフラ整備などの計画を示した。強い揺れに対する備えと大規模な津波に対する備えが柱となっている。この計画を見れば、今後のインフラ整備の進路が浮き彫りになる。

国土交通省は2014年4月、二つの巨大地震に備えた計画を取りまとめた。「首都直下地震対策計画」と「南海トラフ巨大地震対策計画」だ。13年12月に施行した南海トラフ地震対策特別措置法と首都直下地震対策特別措置法の趣旨に沿って、具体的なインフラの整備方針やソフト面での対策などを示したものだ。これらの方針を読み解くと、14年度以降に実施される巨大地震対策の事業の方向性が見えてくる。
 
いずれの計画も、巨大地震に備えて中長期的な視点を踏まえながら事前に取り組んでおくべき対策を整理している。その視点とは、「強い揺れへの備え」と「巨大な津波への備え」だ。そして、インフラの種別を例示しながら、具体的な対策を列挙した。
 
列挙された対策は、二つの地震ともほとんど同じだ。例えば、堤防や重要輸送拠点施設、下水道施設の耐震・液状化対策や津波に対する粘り強い堤防の整備などが代表例だ。

◆巨大地震対策はこれから加速

しかし、早期の対応が求められる地震発生時に応急的な活動を行うための準備に目を向けると、少し違ってくる。「二つの震災で実施すべき対策の重み付けは異なる」と、国土交通省防災課の宮武晃司・首都直下地震対策官は言う。

例えば、首都直下地震では、人口が密集する都市ならではの安全対策や首都機能の維持という観点を重視している。人口密集部の対策としては、木造住宅密集地での大規模火災に備えて、延焼遮断帯として機能する道路の整備を挙げた。

首都機能の維持という観点では、代替機能の確保が難しい施設では地震後に致命的な被害を受けず、簡易な補修で一定機能を回復できるような耐震対策を講じる。羽田空港の滑走路の耐震化や京浜港における岸壁の耐震化などが、これに相当する。鉄道事業者が管理する主要駅や主要路線についても、17年度末までの耐震対策を促していく。
 
他方、緊急輸送網の強化という視点で、首都圏3環状道路の整備推進をうたった。20年に開催される東京五輪への対応も視野に入れられており、五輪を見据えたインフラの被害軽減策が進みそうだ。
 
南海トラフ巨大地震で特に重きを置いている項目は、短時間で押し寄せる津波に対する対策だ。まずは短時間で津波が到達するエリアにおいて、避難路や避難場所を重点整備していく方針を掲げた。粘り強い堤防の整備をはじめとした堤防強化によって、津波被害を軽減する方策も示している。

被災が想定されるエリアには、山間部も少なくない。こうした場所では、広域かつ大規模な土砂災害や河道閉塞といった現象に対する交通網の寸断や二次災害を防ぐ取り組みに力を注いでいく。
 
巨大地震に備えた対策は、これから確実に加速する。次ページ以降では、大規模地震に対応したインフラ整備に着手した取り組みのうち、技術的に新しい発想を生み出した事例を紹介する。
 
前例のない施工技術や設計の考え方の採用は、今後のインフラ整備を考える際の大きなヒントになる。加えて、次ページ以降で示す事例は、新技術による災害対策のためのハード整備という枠にとどまらない内容を持つ。資金調達や利用者との関わりといった、今後の社会インフラが直面する課題を解決するための新しい価値の創出を図っているのだ。

現地の砂で造る初のCSG防潮堤

現場近くで入手できる砂れきに、セメントや水を混ぜてつくるCSG。この材料で構造物を造れば、材料を入手しやすく、打設にブルドーザーや振動ローラーといった汎用重機を使える分、経済性が高い。ダムエ事で実績を積んできた技術だ。
 
このCSGを主要材料として、海面から高さ約13mの防潮堤を延長17.5kmにわたって造る工事が、浜松市で動き始めた。防潮堤整備によって、南海トラフ巨大地震で想定されるレベル2の津波が押し寄せた際の背後地の被害を、浸水面積で約7割削減。木造住宅の全壊確率が上昇する深さ2m以上の浸水となる宅地面積は、97%減る見込みだ。
 
レベル2の津波に対応した防潮堤を整備するエリアには、既に防潮施設が存在する。その高さは、一般的な防潮施設の整備基準となるレベル1相当の津波高さよりも高い。通常であれば、粘り強い構造に改修するような一部の取り組みを除いて、ハード対策をしなくても済む場所だ。
 
にもかかわらず、事業を進めているのは、浜松市で創業した住宅メー力ーの一条工務店が同社グループとして、3年間で300億円を寄付すると申し出たからだ。さらに高い津波にも対応できるような防潮堤などを整備することを求めた。
 
この申し出を受け、一条工務店グループと静岡県、浜松市の三者が協議。2012年6月に、一条工務店側の寄付金をもとに県が防潮堤などの工事を実施、市が工事に必要な土砂の確保と県と連携した住民への説明を図ることで合意した。
 
その後、市は12年9月に市民や企業からの支援の受け皿となる津波。対策事業基金を創設。市民や企業からの支援を集めている。浜松商工会議所では、会員企業から5年間で50億円を集める目標を掲げ、寄付を募る。既に自動車メーカーのスズキが、5年間で5億円を寄付する方針を決めた。同会議所によると、14年4月の段階で1000件超の寄付によって、合計約11億4000万円を集められる見通しが立っている。

◆地元企業で施工できる

民間企業による寄付に始まった防潮堤の建設工事で、CSGを使った構造を採用した最大の理由は、現状の海岸沿いに保安林が広がっていた点にある。

一般的な土堤で整備すると、表面をコンクリートで被覆する必要がある。そうなれば、防潮堤を整備した箇所で保安林を再生できなくなる。保安林は、背後地に控えるまちへの飛砂や強い風などを防ぐという重要な機能を持つ。加えて、これまで貴重な環境資源として、市民に親しまれてきた。市民の生活に欠かせない存在だったのだ。
 
保安林の伐採を避けて、防潮堤の整備箇所を海側に寄せる方法もある。しかし、砂浜には貴重なアカウミガメの生息箇所が存在する。加えて、海岸寄りに防潮堤を設けると、高潮などによる洗掘リスクが増す。防潮堤を砂浜に寄せるのは、現実的な選択肢ではなかった。
 
一方、CSGで堤防の構造体を築けば、コンパクトに構造体を建設でき、その前面や背面への盛り土や覆土が可能になる。この構造なら、防潮堤の整備時に保安林を復元しやすい。 CSGの活用には、ほかにもメリットがあった。コンクリート構造物のように設計強度の管理が可能で、津波に対する抵抗力の把握が容易であるという点だ。

地元の企業でも施工が可能な点も大きなポイントだった。多額の資金を寄せた一条工務店は、防潮堤の整備では地域に根付いている会社の活用を要望していた。冒頭で述べたとおり、CSGは汎用機械を使えるので、地元の企業でも施工しやすい。
 
CSGの採用には、こうしたメリットがあったものの、この現場ではこれまでとは異なる配慮も必要だった。現場発生材として砂を用いたからだ。これまでCSGを用いた施工例が多いダムでは、現場発生材として岩を砕いた材料を使っていた。「現地発生材に砂を使った初のCSGで、防潮堤を整備する試みだ」。静岡県浜松土木事務所沿岸整備課の伊東信幸班長はこう解説する。

◆試験施工で地盤確認の手法を決定

新しい材料を用いるだけに、構造物の品質確認などの作業は欠かせない。そこで.Jこの現場では二つの工区を試験施エエリアに設定。本体施工を合理的に進める計画を立てるための情報収集などを目的として13年7月から工事を始めた。
 
一つ目の工区は西松建設・須山建設・中村組JVが担当、二つ目の工区は前田建設工業・林工組・中村建設JVが担当する。施工延長は前者が250m、後者が470m。契約金額は西松JVが4億9700万円、前田建設工業JVが4億9600万円だ。
 
試験施工で確認したのは、構造物として求められる1.2~1.8N/mm2の圧縮強度を確保できる材料の配合だ。施工現場から約30km離れた山から搬入される段丘堆積物や軟岩と、現場で発生する砂などとの配合に応じた材料の強度を把握していった。
 
その結果、現地発生砂の混合割合は、段丘堆積物を使う場合で20%、軟岩を使う場合で40%であれば、必要強度を満たせると分かった。「実際の構造物では、2N/mm2以上の強度で管理できている」(伊東班長)。
 
CSGを施工するための基礎地盤の強度確認も重要な項目だった。防潮堤が所望の性能を発揮するために、基礎地盤にはN値で15相当の強度が求められた。
 
地盤強度の確認のため、県は施工前に20ヵ所程度でボーリング調査を実施していた。しかし、これでは実際の施工を進めるうえで粗過ぎる。一方、数十メートル間隔でボーリング調査を行うのは、コストと時間の両面で負担が大きい。そこで試験施工では、もっと安くて簡易な地盤強度の確認方法を探った。

試験施工の中で実現|生があると確認できたのは、主に戸建て住宅を建設する際の地盤強度の確認で用いられているスウェーデン式サウンディング(SWS)を使った手法だった。地盤を掘削し、約2m分の砂が上に載った状態で実施したSWS試験で測定した地盤強度を使えば、N値に換算できる関係が判明したのだ。
 
「砂が上にない直上部では、応力解放が起こってうまく測定できない。平板載荷試験も試したがうまくいかなかった。この調査手法の確立によって、調査などに要するコストと時間を短縮できた」と、伊東班長は説く。試験施工では25m間隔でSWS試験を実施して、地盤強度を確認していった。

◆盛り土を型枠代わりに

施工には特殊な重機などを用いない。とはいえ、JVでの試験施工と今後施工する区間でのCGS製造の工事で兼務所長を務める前田建設工業の中島具威氏は、次のように注意を促す。「地域の建設会社での施工は可能だが、決して簡単な内容ではない。品質確保のためには、丁寧な材料管理や施工が不可欠だ」。

前田建設工業JVが担当した試験施工の現場では、以下のように防潮堤を施工している。まずは、CSGを打設する部分の両脇に、盛り土を構築する。 CGSは高さ30cmごとに振動ローラーで転圧して整備するので、その高さ分を盛り土して型枠代わりにするのだ。

CGSを打設する面は清掃しておく。異物によって打設面に弱点箇所ができないようにするためだ。そして、打設面にセメントペーストを散布し、ダンプトラックからCSGを下ろしてブルドーザーで敷きならす。
 
この際、2層に分けて踏み固める。敷きならしの後は、4t級振動ローラーで無振動2回、有振動8回の転圧を実施する。転圧速度は時速1kmを守る。転圧したCSGには散水して、養生シートで覆う。
 
延長50mに1ヵ所は、ひび割れを防ぐための目地部を設けておく。CSGの施工部にV字状の溝を掘って、そこにCSGからセメントを抜いたものに相当する材料を入れる。

◆広葉樹の植栽も試す

試験施工の区間では、14年度に樹木を植える検証も実施する。陸側の植栽については、海岸で一般的に使用されるクロマツを中心に植えるケースと、これまであまり使われてこなかった広葉樹を植えるケースの2パターンを確認する計画だ。
 
クロマツを主体として植えるパターンは、内陸側の松林が松食い虫などで衰退している事情を踏まえた。広葉樹を植えるパターンは、内陸側の松林が充実しているケースを想定。広葉樹を含む多様な品種を備えておけば、将来、病害虫などが生じた際に枯れてしまうリスクを分散できるという考えに基づく。

こうした植栽には、保安林として砂や潮の飛散を防ぐという日常生活上の機能以外にも効用がある。県と市が防潮堤整備に当たって設けた植栽計画検討会で、副会長を務める静岡大学防災総合センターの原田賢治准教授は、次のように説く。「津波が襲ってきた際に、保安林が津波の勢いを弱める効果を期待できる」。

さらに、緑には市民とインフラの関係を近づける効果が期待されている。例えば、県は樹木の植栽などには住民に参加してもらう考えだ。植樹やその後の樹木管理の一端を住民が担うことによって、インフラの整備や維持管理の効率化を図るだけでなく、将来にわたって防潮堤の存在意義を伝える機会に結び付ける。
 
多額の寄付を寄せた一条工務店側の要請を踏まえ、県は事業を急ピッチで進めている。土砂が順調に調達できたとして単純計算すると、4年程度での完成は不可能ではない。しかし、現段階では事業の完了予定時期は決まっていない。環境配慮のために調査中の箇所が存在し、ルートや構造が確定できないからだ。

同様の理由で全体の事業費も定まっていない。ただし、試験施工で確認できた条件で全体の工事が進めばCSGGと覆土の部分は約300億円で完成する可能性があると県はみる。そのほか、商工会議所などが音頭を取って集めている資金分は、植栽整備などに生かされる見通しだ。

 

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